爽やかなアラビアの器『プリマヴェーラ』

アイルランドに住んでいた時、献立作りにはしばしば頭を悩ませました。気候と土地柄が産んだ食習慣が理由でしょう、日本に比べると野菜と魚の種類が乏しく、一方肉や乳製品は豊富。日本にいたときと同じものを作ろうとすると、材料が手に入らずハタと困ってしまいます。
そのため、知り合いに会うと「昨日は何を作ったの?」と聞くようにしていました。「ソウル(カレイとヒラメのような平たい魚総称)の紙包み焼きよ」なんていうお料理上手の方の話はへーと聞き、「普通なんだけど…チキンキャセロール」と恥ずかしそうに教えてくれる献立は大いに参考にしました。
チキンキャセロールとは、鶏肉と野菜とスープストックと調味料を耐熱の鍋(キャセロール)に入れ、オーブンで焼き煮する料理です。簡単ですので、一から作ることも多いですが、スーパーに行けば水を注ぐだけの様々なミックス粉が売られています。そのレトルトのCMも盛んで、今でも覚えているのは、オーブン調理中は手を離れるので子供たちとゆっくり過ごせます、と謳ったもの。
日本でいうと、ちょっと楽ちんイメージのある家庭料理、カレーライスのようなポジションかもしれません。
昨日はそのチキンキャセロールにお米を入れて一緒に炊き上げた「チキンライスキャセロール」を作りました。まあ平たく言うと洋風炊き込みご飯ですね。
レモンをきゅっと絞ると爽やかな香り。その香りのイメージでアラビアのプリマヴェーラの器を合わせました。
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プリマヴェーラ(Primavera)はエステリ・トムラによる、1970年代のデザイン。製造期間は1970年から74年です。トムラの特徴的な、細い輪郭線に色の面を使って明るい花を描き出しています。
プリマヴェーラとはイタリア語で『春』の意味ですが、今の季節に涼しげなデザインは目に嬉しくもあります。
花から連想して、花柄のグラスを合わせてみました。グラスの名前はそのものズバリの植物を意味するフローラ(Flora)。現在も活躍しているガラスデザイナー、オイヴァ・トイッカによる1960年代の作品です。
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吹きガラスの製法で作られているため、一点一点が僅かに異なります。これは、昨年フィンランドの国立ガラス博物館で撮影したフローラの金属型。
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フローラは1966年から1991年まで製造されていました(復刻を除く)。色は、クリア、ライトブルー、グレイ、ダークブルー、パープルの5種類。けれども、カラーガラスの生産は1978年までで、91年まで製造されていたのはクリアのみ。フィンランド国立ガラス博物館のキュレーター、カイサさんによると、大量生産になるとクリアが作りやすかったから、というのが主たる理由らしいです。
さて、最近やや個人的に気になりだしたエステリ・トムラについて、もう少し書こうと思っていたけれど、話がそれた上に長くなったので、今日はここまで。
ミタ
エステリ・トムラについて、次はいつ書くのか、もしかしてこのまま書かないのか、未定ですが…とりあえず続く。

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