目黒区美術館「フィンランド陶芸」展へ

20108年4月の茨城県陶芸美術館を皮切りに2019年10月まで全国巡回をする「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」展が現座、目黒区美術館で開催中です。

美術館に取材許可を頂いて、展示を撮影してきました。
フィンランドの製品は最近大変に人気があり、フィンランドとは意識せずにムーミンやマリメッコ、あるいはアラビアやイッタラを使っている方も多くいらっしゃると思います。
この展覧会は、そういった流通品ではなく、芸術作品にスポットを当て、19世紀末からフィンランドデザインの黄金期と言われる1960年代までの作品を順を追って展示した内容です。
展示は、ロシアからの独立をはさみ、ナショナリズムが高揚していた時代の作品から始まります。スウェーデンのロールストランドの子会社であり、ロールストランドのロシア向け製品を作っていたアラビアがデザイナーを登用して独自デザインを作り出したのはこの頃。特にアラビアでは1930年代に芸術部門が出来、所属アーティストたちは、給金をうけとりながら、設備を使って自由な作品制作をすることが許されていたため、豊かな芸術作品が生まれました。
19世紀末から20世紀初頭の作品は、当時流行のアールヌーボーやアールデコの影響を受けながら、自然豊かなフィンランドらしい植物や、伝統柄を思わせる幾何学模様が描かれています。

次に1940年代から60年代の作品展示。あまり見る機会の無い陶芸のアート作品はどれも美しく見とれてしまいます。点数はそれほど多くはありませんが、添えられた解説が丁寧で作品の見所が分かりやすく、作家が釉をいかに工夫し色を作り上げたかの説明にはメモを取りながら鑑賞しました。

奥に並ぶ白い作品は、当店でも取り扱いのあった、フリードル・ホルツァー=シャルバリのライスポーセリンの展示です。

シャルバリは中国の蛍手陶器に感激し、その再現に10年の歳月をかけて取り組みました。このために開発した特殊なナイフを使い、選ばれた20名ほどの特に手先が器用で慎重な職人がチームを作って製品を作りました。当時これが量産出来たのはアラビアとセーブル陶器製作所だけだったとか。
こうやってアート作品を流通品へと展開出来るのは、芸術部門で自由な制作を作家たちに許している、アラビアならではでしょうか。
さて、実は一番のお気に入りは、轆轤(ろくろ)で丸く壺のような形に成形して作った、1950年代のミハエル・シルキンの動物たち。特に、猫、ウサギ、キツネには心を射貫かれました。

同じように思う方はいるようで、ミュージアムショップで猫がポストカードになっていました。

か、かわいい!!
リサ・ラーソンのMIAに似ていますが、製造はこちらが先ですね(そういう問題ではないが)。これ、復刻したら欲しいなあ。
そして、当店のお客様にはお馴染みの50年代、60年代の製品へ。カイ・フランクのキルタ、ウッラ・プロコペのルスカやヴァレンシア、マリメッコなど、今のフィンランド製品に引き継がれるプロダクトデザインのコーナー。

ここには撮影スポットがありますので、この角度から記念写真を撮ることが出来ますよ。

最後は、今回の目玉となっている、ビルゲル・カイピアイネンのビーズバードと立体的な陶板、ルート・ブリュックの陶板作品の展示へ。

著作権が厳しく、作品を近くから撮影出来ないのですが、ビーズバードは小さな陶器の玉をつなげ作った鳥で、ビーズ一つ一つの微妙な色の違いが作品に何とも言えない表情を出しています。そのため、近くで、離れて、と見る距離で印象が変わる面白さがありました。

ルート・ブリュックの作品は陶板に描き出した絵画作品です。絵画と違って立体表現ができ、また釉の変化が作品に更に奥行を与え、引き込まれるような深みがあります。どちらも、ほとんど実際に見る機会がありませんので、是非じっくりご覧になってください。
ミュージアムショップでは先ほどのポストカードの他に、マスキングテープやピンバッチなどもあり、私はカイピアイネンのピンバッチを買いました。

また、期間中はカフェでパウンドケーキを頼むとマリメッコナプキンが付いてきます。午後に伺ったのですが、既に残り1個。

担当者の方お勧めのレモネードも期間限定の特別メニュー。外は猛暑なのに、館内はヒンヤリとして気持ちがいい。

館内は撮影禁止ですが、入り口近くにルート・ブリュックの特大パネルがあり、記念撮影ができますよ。撮影した写真はSNSでシェアして下さいということでした。

『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』
会場:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
会期:2018年7月14日(土)〜2018年9月6日(木)
休館日:月曜日
観覧料:一般800円/大高生/65歳以上600円/小中生無料
URL:http://mmat.jp/exhibition/archives/ex180714
当店では、お買い物の方の中でご希望を頂いた場合は招待券をプレゼントしています。数に限りがありますので、ご希望の方はお早めに。
ミタ
※カイピアイネンの作品については、2013年にフィンランドで開催された展覧会のレポートも合わせてご覧ください。
魅惑のビルゲル・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)展

【この記事をシェア】

コメントを残す

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る