注目のフィンランドブランド、ペンティック

ご主人のお仕事で日本に住んでいたフィンランド人のお宅に伺ったことがあります。新婚だった彼女は友達からの結婚のお祝いはウエディングリスト*を作ってペンティックの食器を揃えたのだと見せてくれました。
ペンティックはフィンランドの家庭用品メーカー。フィンランドの女性誌でしばしばトナカイのキャンドルホルダーの広告を見て知っていたのですが、カジュアルブランドだと思っていたので、ウエディングギフトにしてもらったと聞き意外でした。「アラビアじゃないの?」「アラビアはあんまり興味ないわ」。
そのペンティックのビンテージのカップ&ソーサーとディナープレートを春のフィンランドで買い付けてきました。実はこの2点は別々の場所で見つけたもの。最初カップを見つけ、素敵だな、と裏返してブランド名を見て「ペンティックか」と返そうと思ったのですが、デコレートがあまりにも素敵で手放しがたくなりました。次にこのプレートを見つけたときは「運命かな」とこちらも買い付けました。

帰国して詳しく調べて驚きました。
何とデザイナーがペーテルとアンヤのウィンクヴィスト夫妻(Peter Winquist & Anja Winquist)!
ペーテル・ウインクヴィストはアラビアでファエンツアを生み出した人です。ファエンツァのフォルムは後にクロッカスやキルシッカなど広く使われています。また、妻のアンヤと組んでアラビアの芸術部門から多くの手彩色による作品を生んでいます。例えば、このカレワラシリーズもその一つ。二人の手掛けたアトリエ作品にはバックスタンプに「APW」と二人のイニシャルを合わせたサインが入っています。

あらためてプロフィールを調べると、ペーテルは1967年からアラビアで、74年から83年まではペンティック所属、アンヤは1955年からアラビアでペーテルと同じく74年にペンティックに移り、製品の発展に力を貸したとか。なるほど、ひきつけられたのも当然でしたね。
ペンティックは日本ではほとんど知られていないブランドですが、先ほどのフィンランド人の話から伺えるように、フィンランドではアラビアと並ぶ人気のブランドです。
ペンティックは1971年に、ラップランドのポシオ在住の陶芸作家であったアヌ・ペンティックによって創立されました。彼女の作品は評判になり、やがてラップランドからヘルシンキへ、そして北欧諸国へと広がっていったそうです。春の買い付けから帰国した今年の5月、ペンティックの期間限定ショップが伊勢丹で展開されるとニュースが目に入りました。もっと評価されてもいいブランドですので、これから日本でも人気が出るかも知れませんね。ちなみに創立者のアヌ・ペンティックさんは今もお元気で活躍されています。
さて、ペーテル・ウインクヴィストといえば、去年の2017年2月に開催されたチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」の記事を目にして、思わず3度見しました。出展したショコラティエの一人、フィンランド・オーランド島のメルセデス・ウィンクイストさんと来日したご主人の名前がペーテルだったのです。しかも陶芸家で展示には彼の作った作品が使われていると。名前の読み方がちょっと違う…でも北欧言語は表記が難しいし…
しばらくして「サロン・デュ・ショコラ」の続報を読むと、やっぱり、あのペーテル・ウインクヴィストさんご本人!
えええー?アンヤは?!
メルセデスチョコレートのサイト(日本語)を読むと二人の大ロマンスが書かれています。おやおや。作品にはアンヤと連名でサインを入れる程仲が良いと思っていたのに、人生って分からないものですね。
ミタ
ペンティックの製品は7月26日にアップします。
ちなみに、アンヤさんは2015年に80歳で亡くなっています。
*ウエディングリストとは、新郎新婦が作った欲しいものリストから、送り主は予算に合ったものを選びプレゼントするもの。フランス語の「リスト・ド・マリアージュ」の方が耳に馴染みがあるかも?

【この記事をシェア】

コメントを残す

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る