やがてIKEAもビンテージ

少し古い話になりますが、今年の1月27日にスウェーデンの大手インテリアメーカーIKEA(イケア)の創業者イングヴァル・カンプラード氏が死去しました。享年91歳。なんだかカンプラード氏は不死のイメージがありましたが、やっぱり人間だったのですね。
カンプラード氏がIKEAを創業したのは17歳だった1943年のこと。1代目が存命中に、創業70年を超えているのですから、驚きです。当然販売されてから何十年も経っている製品もあるわけで、何年も前からスウェーデンに行くと「IKEAの製品はそのうちビンテージの価値が出てくるよ」と本気だか冗談だか分からないことを言われ「へー」と思っていました。
その証拠ではないですが、スウェーデンでフクヤのためにビンテージのクロスを集めてくれているエヴァさんから、立て続けにIKEAの布が入りました。
どれも10年くらい前の製品ですので、ビンテージとは言い難いのですが、それだけにまだとてもきれいです。こちらはオレンジの輪切りを大胆に描いた2007年のデザイン。未使用のカットクロスでシッカリとした厚みがあるので、クッション、カーテン、テーブルクロス、エプロンなど、様々なアイテムを作ることができます。この布のアップは来週の木曜日を予定しています。

ところで、IKEAの日本第1号店は2006年でした(1970年代に日本法人で進出→撤退していますが)。日本進出前の2001年に(同時多発テロがあった年なのではっきりと覚えている)イギリス滞在中に「日本にもIKEAがあればいいのにな」と言ったところ「どうして?IKEAって安いから若いカップルがとりあえず買う家具ってイメージだけど?」と返されて驚いたことがあります。当時は並行輸入されたIKEAの家具や小物がそこそこいいお値段で売られていたので。
なるほど、確かにIKEAが日本に出来て、その言葉の意味が分かりました。長く使える上質なものを求めるとニーズには合わないのですが、それでもこの価格で、このデザインはついつい手が出てしまう。
洗練されたデザインを安く提供したカンプラード氏がIKEAで成功を収めた様々な手法は、多くのメディアに取り上げられているので、今更私が書くことはないのですが、ひとつだけ。
以前海外メディアでIKEAの成功の要因の一つは、家具をその場で買って持ち帰られること、と書かれていたのを読みました。これについては、目を通したいくつかの日本のメディアでは触れていないようでした。日本の人にはピンと来ないかも知れません。
欧米では普及品の家具でも今も受注生産が主流だといいます。つまり、買ってから何か月も待って、ようやく届く感じ。実際アイルランド在住日本人の友人宅に遊びに行ったときに、何やら配達人と揉めていて「半年も待って届いた家具がサイズが違っていた」と説明されたことが。不思議に思って「オーダーしたの?」と尋ねると「こっちはそれが普通なのよ」と教えてもらいました。
北欧に行くと、中古店で家具を買って、車の屋根に乗せて持ち帰る人にしばしば遭遇することがあります。中古家具の市場が充実している理由には、こんなところもあるのかな、という気がしています。
ミタ
補足として:
古い製品がビンテージなのか中古品なのかの違いは、価値が付くか付かないかの違いと言われています。

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