10月に入っても、ここ関東地方ではしばらく暑い日が続いていましたが、今日あたりは過ごしやすい秋の日差し。
木々の緑も、なんだか落ち着いた色合いに変化しつつあるように感じます。
こんな日は、このPolarisのようにしっとり落ち着いたティーカップでお茶でもどうぞ。
フォルムは1953年にフィンランドの巨匠、カイ・フランクが、デコレートデザインは女性に人気のライヤ・ウオシッキネンです。
ゆったりとなだらかな曲線を描くデザインですが、スタッキングでき収納のスペースを取らないように工夫されています。
これは同年(1953年)に発表され、現在でも生産されている彼の名作Kilta(現・Teema)にも通ずる、カイ・フランクのフィロソフィー。
しかも、絵付けの上に透明の釉をかけることで、使用に伴う絵柄の損傷を防ぎ、手入れの簡単さをうたっている最初のモデルです。
このことは現在では当たり前で、あまり意識したことは無いと思いますが、製作当時はかなり革命的なことだったよう。
そのためでしょうか、半世紀以上たった今でも艶々した状態を保ち、ライヤによる繊細な野花の絵付けも生き生きとしています。
最初、このシリーズをモノクロのカタログで見たときは、てっきりモノトーンと思っていたのですが、実物を手にすると実はモスグリーンの絵であったことが分りました。
そういえばArabia Museumのサイトにもgreenと説明されています。
確かにこのやさしくゆったりとしたデザインには、モノトーンよりもモスグリーンのほうがふさわしいですね。
Polarisとは北極星のこと。いつも真北で輝き行き先を導く星のように、その後のアラビア製品の方向を定めたティーカップです。
ミタ