美しい釉薬の色の変化を楽しむ器

スウェーデンでUpsala-Ekeby(ウプサラ・エケビィ)のKosmos(コスモス)とOliv(オリーブ)のティーカップを買い付けました。過去にも何度も入荷したものですが、この二つが同時に揃うのも久しぶりなので、合わせてご紹介。青い方がコスモスで、緑の方がオリーブです。

コスモスのデザインはBerit Ternell(ベーリット・ターネル/1929年-)による1966年のこと。1967年にオランダ ユトレヒトの国際展示会で優勝しています。製造期間は1966年から77年。

コスモスは花のコスモスではなく、宇宙の意味。花のコスモスはスウェーデン語でも綴りは英語と同じ「Cosmos」です。この青の複雑な色合いは、その通り、宇宙をイメージさせます。
オリーブはコスモスの成功に気を良くした確信を得たのでしょうか、コスモスの1年後の1967年から79年に作られました。
以前も書きましたが、ユトレヒトの国際展示会での優勝は美しい茶と青のグラデーションの表現が評価されたものでした。審査では「工業デザインの模範的な例」「アートと工業技術の結合の成功である」と絶賛。
ところが、ターネル自身は工場で新聞記事を見せられるまで受賞を知らず、更に記事の中で「トロフィーは工場が受けるべきもの」と書いてあるのを見て相当驚いたそう。
このエピソードをみると、一つのデザインには、デザイナーだけでなく、技術者の力も大いに関わっているのだと改めて思います。同じスウェーデンのロールストランドで作られたBlå eld(ブラ・エルド)は、デザイナーであるHertha Bengtsson(ヘルサ・ベングトソン)のイメージ通りである青を出すのに釉薬の開発に3年かかったと言いますしね。
デザイナーだけでなく、技術者にスポットが当てた話をいつか見つけてみたいです。「プロジェクトX」のようで面白いと思うのですが。
ミタ
以前も書きましたが、ベーリット・ターネルは、リサ・ラーソン(1931年-)とデザイン工芸学校(Högskolan för Design och Konsthantverk / HDK)で同級生だったそうです。

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