色が変化する不思議なネオジムガラス

こんにちは、昨日はイデー自由が丘店での「北欧のみの市」に参加させていただきました。昨日の事はいずれ改めて書くとして、写真のプレートに乗っているのは同じく「北欧のみの市」で販売されていた、イデー自由が丘4階「ベイククショップ」さんのシナモンロールです。

その下の紫色のガラスプレートは、フィンランドのリーヒマエンラシ(1990年廃業)によるBarokki(バロッキ)シリーズ。1960年代から70年代にかけて作られました。
この色は天然光や白熱灯の下では紫色に、蛍光灯の下では青く見えるので、ネットショップとしては、撮影泣かせです。この写真は蛍光灯の下で写したもの。トップの天然光の下のものよりも青っぽいのがお分かりでしょうか?
130819-2.jpg
スペクトルの反射、吸収が原因とは漠然と分かっていましたが、夏休みの自由研究としてちゃんと調べることにしました。
ここからは、やや面白くない内容かもしれないので、興味の無い方は飛ばしてくださっても大丈夫です!では、スタートします。


色は暗闇では見えません。つまり光が当たらないと見えません。当たり前かと思われるかもしれませんが、理由を考えた事はおありですか?
光には色に感じる波長がありそれを「光のスペクトル」と呼びます。短い波長は紫色、長い波長は赤、真ん中あたりは緑。色の順番は虹を思い出していただけると容易に想像できると思います。
ちなみに紫色よりも短い波長は人の目には見えず「紫外線」と呼ばれます。赤よりも長い波長も人の目には見えず、これは「赤外線」。なんとなく身近な言葉が出てきましたね。
では、葉っぱは何故人の目に緑色に見えるのか。それは、スペクトルに含まれる緑色以外の色の波長を栄養として吸収し、不要な緑のスペクトルを反射しているからです。
例えば赤いインクを斜めから見ると、中に紫や青が見えることがあります。それは赤のインクに吸収された赤以外のスペクトルが見えているのです。
つまり、物は光が当たって、それのうちどこかの波長を反射することで色として見えています。また光源によってそれぞれの波長の分布が異なります。
下の図が左から天然光、白熱灯、蛍光灯の分光分布図です。
bunpu.gif
※ちなみにこの図は私が参考資料を見ながら適当に描いたものなので精密でありません。思っているような比較図が無かったので、じゃあ描いちゃおうと気楽に始めて、結局めちゃくちゃ時間がかかりました。とはいえ、絶対に不正確ですので、コピーや配布はしないで下さい。専門家に怒られちゃいます。
紫色のガラスの着色にはネオジムというレアアースが顔料として使われています。このネオジムは黄色のスペクトルを非常に強く吸収し、それ以外のスペクトルを反射する特徴があり、ネオジムガラスと呼ばれています。
この図を見れば、蛍光灯にはほとんど赤のスペクトルが含まれていないのがお分かりかと思います。つまり、蛍光灯の下では青いスペクトルしか反射しない(出来ない)ので青に変化して見えるのです。
結構簡単ですよね?
実はこういう光源による色の見え方の変化は、日常的に経験されているはずです。トンネル内で使われているナトリウムランプは黄色からオレンジ近辺のスペクトルが強く、赤は少なく、緑から紫のスペクトルはほとんど含まれていません。
トンネルの中では色が見えづらいのはこういった理由です。つまり、青っぽい色のものは色(光/スペクトル)を反射せず(できず)モノトーンに見えますが、逆に黄色やオレンジのものは鮮やかに見えます。
そうすると白熱灯の下と、蛍光灯の下では色はかなり違って見えるはず、ですよね?でもそんなに違って見えませんよね?
それは人間が目に入った光を「白」に自動的に補正しているからです。視覚は蛍光灯の下では青を弱め、白熱灯の下では赤を弱めに補正しています。ところがカメラのような機械には自動補正機能がないので、色がそのままに写ってしまいます。生物ってすごい高機能!
というわけで、料理を美味しそうに見せたいのなら、食卓での蛍光灯はお勧めしません。蛍光灯には赤やオレンジの色が少ししか含まれていないので、食欲を湧かせる赤やオレンジの色が沈んで見えてしまうからです。
ミタ
ところで、このシナモンロールはデニッシュ生地でした。ベイクショップさんによると、現地のレシピでお作りになったとのことですので、北欧でもデンマークのレシピなのでしょう。でも、形はフィンランドのシナモンロール”コルヴァプースティ”なので、北欧コラボですね。

【この記事をシェア】

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る