おいおい・・・


こんにちは。東京は昨日の雨が信じられないほどの良い天気になりました。
皆様がお住まいのところはいかがですか。
さて、この写真はArabiaが1976年から1999年まで合計24枚出した、イヤープレートです。モチーフになっているのは、フィンランドの国民的叙情詩”Kalevala(カレワラ/カレヴァラ)”。
この物語はフィンランド人なら誰でも知っているそうで、そういえばヘルシンキで訪れたカフェアアルトで知られているアカデミア書店でも、幾種類か平積みされていましたっけ。
フクヤでも以前から何枚か扱っていたのですが、今回まとめて入荷したので、気になっていたカレワラのあらすじを読んでみました。
いやー、もう突っ込みどころ満載でしたね。
例えば、冒頭の写真の1983年が描いているのは、カレワラ一の男前レンミンカイネンが、とある結婚式に呼ばれなかったからと逆切れし、宴会に乗り込みその家の主人を殺害。追っ手を逃れて小船で島に向かったら、その島の乙女たちがハンサムな彼を大歓迎しているシーン。
なんと彼は、村中の女に手をつけたものの、一番醜い娘だけ相手にしなかったので、その娘が怒り船を座礁させると脅したそうで・・・。

怒るポイントがずれていませんか。

下に置いてある、1982年のプレートが描いているのは、吟遊詩人にして狩人のヨウカハイネンが、老賢者ワイナミョイネンとの結婚を嫌がり、妹のアイノが海に身を投じたことに腹を立て、ワイナミョイネンを矢で射ろうとしているところなのですが・・・。
そもそも、母親が止めるのも聞かず、ワイナミョイネンに魔法対決を挑み、負けて妹を差し出すと言って許してもらったのは、このヨウカハイネン本人。
原因を作ったのは自分じゃないか。
と、女性の立場から読むと、結構ありえないほど支離滅裂。
このプレートのデコレートを担当した、やはり女性のライヤ・ウオシッキネンが、どう思っていたかどうかは分かりませんが、数あるカレワラ伝説の絵が結構シリアスなのに比べ、彼女の表現はユーモアにあふれています。
最初のプレートの年、1976年には1923年生まれの彼女は既に50代の半ば。私にはまるで、この物語の荒唐無稽さをちょっと離れた立場から、余裕たっぷりに面白がって見ているように思えます。
特徴的なのは装飾的で豊かな表現に、抑えられた色彩。色を数えてみると、紺、茶、黄土、濃い灰色、黒、そして地色の白の6色で作られていました。
何よりも魅力的なのは、登場人物の表情。単純な線なのにその内面まで分かるような表現力です。
この冒頭のレンミンカイネンなんて、いかにもな顔ではないですか?
フィンランド人の心の故郷、カレワラ伝説。厳しい気候の中で生まれたわりに、結構とぼけたお話なのでした。
ミタ
おそろいのエッグカップ、今回はキャンドルホルダーとして活躍中。

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