ダラダラと書き続けていた2017年夏の買い付けレポートも終盤です。多分、今日を入れてあと3回で終了します。そして最終回には海辺のニューノルディックキュイジーヌレストランで美味しいデンマーク料理を食べた話がありますので(予定)どうぞ、もうしばらくお付き合いください。
さて、以前から、スウェーデンやフィンランドのサマーハウスの場所と言えば森や湖ですが、森も湖のイメージの無いデンマークではどんなところにサマーハウスが建っているのかと興味がありました。どうやら海に近い場所がサマーハウスに人気のようです。デンマークは小さな島が集まった国で、調べると443もの島があるそう。
友人に勧められて朝早くに海岸まで散歩に行くと、ピクニックをしている家族がいました。夏の海岸ですごく気持ちよさそうですが、実は結構寒い。
海辺は風が強く、軽装(と言っても薄いニットを着ていましたが)だったので、じっとしていられなくて、同じくお勧めの、地元で30年間愛されているベーカリー「Hedo’s Bageri」までパンを買いに行きました。
オープン1時間後くらいだったと思うのですが、棚がガラガラ。大好きなデンマークの美味しいパンを色々買いたかったのですが、拍子抜けです。後で友人に聞くと、オープンしてすぐに行かないと無くなってしまうとか。お店の奥にはあらかじめ注文されたのか、既に袋詰めされたパンがいくつも並んでいました。
残っているうちから、数種類選んでお店の女性に告げると、手づかみで袋に詰めたのにはビックリ。嫌だったのではなく、日本ではあり得ない出来事で、虚を突かれたのが驚いた理由です。
以前、叔母が日本のパン屋で、お客の男性が、少しでもお店の人が袋に詰めるときに手が触れると「あ!いま触った!取り替えて!」と何度も何度も交換させていたのを見たそうです。そんな神経質な人がここに来ると生きるのが大変だろうなあ。
お店には犬用のオヤツもありましたよ。
島をグルグルと周っていると目に入るのが自宅で採れた作物を売っている無人販売所。北欧の夏の風物詩です。
ここには、イチゴ、カラント、ジャガイモ、リーク(?)がありました。
収穫物だけでなく、台所仕事が好きな家ではジャムを作って販売しています。
販売所を覗いていたら自転車で通りかかったカップルが「小銭を持っていたら両替してくれないかな」と話しかけてきました。残念ながら他の販売所で手持ちを使い果たしていたので両替は出来ず、お断りせざるを得ませんでした。販売所は現金ですが、北欧はキャッシュレス化が進んでいるので、この先現金が無くても困ることはほとんどありません。ところが、この『現金が無い』事態が後でユニークな体験に繋がります。
無人販売所は食べ物だけではありません。デンマーク語で『Loppemarked』という蚤の市の看板もあちこちの家の軒先に出されていました。
5クローネは安い。いらない人にはガラクタだけど、欲しい人にはお買い得。
そんな『Loppemarked』の案内板のひとつに惹かれて、ある一軒家の納屋に入ってみると、ガラクタの中にキラリといくつかのKronjydenが光っていました。価格はリーズナブル、状態も良好。ところが現金の手持ちがありません。その家の女主人にカードが使えるか尋ねると、モバイル決済なら対応すると。キャッシュレス化が進み、モバイル決済が当たり前になっている北欧。ところが私はデンマークに銀行口座がないので、もちろんモバイル決済なんてできません。
では残念ですが…と告げると、その女主人が「すぐ近くにスーパーマーケットがあるから、そこでちょっとしたものを買って、必要な金額を上乗せしてクレジットカードを切って、上乗せした分を現金でもらえばいい」と言います。「ええ!?」「ここら辺は銀行がないから、私たちはいつもそうしているのよ」
教えられたスーパーに行くと、既に女主人から連絡が行っていました。飲み物を少し買って、決済をしようとするとなぜか、どうしてもカードが切れません。何回か試して結局カードが使えず、現金を受け取ることは出来ませんでした。
納屋に戻り、現金が手に入らなかったのでKronjydenを買えないと説明して蚤の市を後にしました。少し心残りはありましたが、一方こんな地元の生活ぶりを知ることが出来たのは良かったです。それにもう買い付け品は全て日本に送っていたので、持ち帰るのが大変かなと思っていたので、現金が手に入らなくて内心ちょっとホッとしていました。
宿に戻って早速販売所で買ったイチゴを食べました。
切ってみると中まで真っ赤。
デニッシュは半分くらい食べて、残りは翌朝用に残しました。
この日はサマーハウス滞在最終日。翌日はコペンハーゲンへと向います。
さようなら、素敵なサマーハウス。
翌日、フェリー乗り場までの道中では麦畑が風に吹かれて揺れていました。
ミタ