北欧買付最終日にニューノルディックキュイジーヌ

フィンランドの取引先の青年に「北欧でどの国が一番いい?」と難しい質問をされたことがあります。「それぞれの国で特徴があるからどこが一番とは言えないけれど…」「分かるよ」「リラックスするならフィンランド、買い物が楽しいのはスウェーデン、外食が面白いのはデンマークかな?」「分かるよ」。
ちなみに彼は、以前は両親が経営するアンティーク店に私が来店した時に(あらかじめ予約をいれているので)英語の苦手な親のために通訳として顔を出していたのですが、今では彼が切り盛りしている風です。最初に会った10年程前はしゃがむたびに半ケツを見せていたのに、今はもう見えないし(ファッションの流行もあるのでしょうが)、去年の夏に結婚して来年の春にお子さんが生まれるそう。もう青年とは言えないような気もするのですが、私も一緒に10年分年を取ったので、いつまでも青年のように思ってしまいます。
思えば、まだお腹の中にいたスウェーデンの取引先の娘は超絶美人小学生になっているし、堅信礼を受けたばかりと母親の後ろでもじもじしていたデンマークの友人の娘は全身真っ黒の服着てゴスバンドで演奏しているくらい立派になって、10年でこれほど変わるのだから、20年、30年と関わっているとどれくらい変化するのだろうと思うと恐ろしいような楽しみのような。
閑話休題。
そう、デンマークと言えば私にとっては「面白いものを食べられるところ」。いわゆる「ニューノルディックキュイジーヌ(新北欧料理)」はデンマークのレストラン「noma(ノーマ)」が世界に知らしめた北欧の新しい食文化です。大雑把に言ってしまうと「地産地消」なのでコンセプトとしての目新しさはないのですが、気候が厳しいために食材に乏しく、輸入食品に頼っていた北欧のレストラン業界において新風を巻き起こしました。
2016年11月にKøbenhavn(コペンハーゲン)で食べたときに、実は本命のレストランがあったものの、遠くて断念した経緯がありました。ただKøbenhavnもとても美味しかったので後悔はないし、市内の便利な場所にあるので、機会があれば再訪したいと思っています。
その行きたかったレストラン「Den Røde Cottage」…はお高いので、系列のカジュアルレストラン「Den Gule Cottage」。鹿公園で有名なクランペンボーにあります。今回は最初から行くつもりで、あらかじめ日本から予約もし、ホテルも近いところに取っていました。
「Den Gule Cottage」とは直訳すると「黄色い草ぶきの田舎家」。その名の通りの建物がぽつんと1軒建っていました。夜の7時ですが夏の北欧はこんなに明るい。

中に入ると若い男性が飛び出てきて「いらっしゃい!僕はシェフの○○です!」と元気に声をかけるので、勢いで「こんにちは、ヨウコです!」と思わず手を出して握手してしまいました(恥ずかしい…)。テラス席があるというので、そちらを選びました。

メニューは分かりやすく、アラカルトから前菜、メイン、デザートのスリーコースを選べるセットもあります。私はワイン抜き350クローネのスリーコースを選択。

飲み物は夏らしくルバーブの何か(ノンアルコール)。

最初に出されたパンとバター。デンマークのパンは本当に美味しい。

前菜に選んだのは「Shrimps, creamy salad and dill」。北欧の定番中の定番ですが、上にかかったライ麦だったか何かのクリスピーな食感が楽しい。

メインには「Chicken from “Hopballemølle”, kale and salty cucumber」。チキンどこや、と思ったら下から出てきました。あえて焦げ目をつけたキュウリの風味が新鮮な感覚です。上の黒いのは何か忘れました。

デザートは「Strawberry, buttermilk and danish “kammerjunker”」。酸味のあるバターミルクを上からかけます。白いイチゴは初めて。甘いと酸っぱいの組み合わせは間違いないですね。

どれも美味しく、また食材の組み合わせが面白く、たっぷりと楽しみました。また違う季節に行ってみたいです。
レストランは海岸沿いにあり、テラスからは海や芝で遊ぶ人たちが見えました。夜の8時を回っていると思いますが、昼間のように明るい。

せっかくなので食後に海岸を散歩しました。

砂浜にはカモメのあしあと。

9時過ぎていたと思いますが、まだ海水浴を楽しむ人たちがいました。海岸に建っている足の付いた円筒形はアルネ・ヤコブセンがデザインした監視塔。デンマークのアイコンのひとつとして雑誌でしばしば目にし、海岸にポツンと一つ建っているのを想像していたのに、実際は海岸沿いにいくつもいくつも並んでいて、自分の思い込みに苦笑。

それでも、やっぱり絵になるのだ。

月が出て、カップルが歩いていて、カモメが飛んでいたら、もっと絵になるのだ。

こうして、2017年夏の買い付けは終了。
翌日はデンマークのカストラップから日本に向けて帰国の便。

機内食にルバーブケーキが出てきたのが、今年の北欧の夏の食材食べ収めでした。

さようなら、北欧。また来る日まで(言っている間に次が来てしまうのです)。
ミタ
食レポートが薄くてごめんなさい。なにせ3か月以上も前のことなので美味しかった記憶しかありません。

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