グスタフスベリの射手からベルイマンの死神まで

スウェーデンのグスタフスベリ製品の中でも異色ともいえるシリーズ「Bågskytt(ボーグフィット)」。「Bågskytt」とはスウェーデン語で「射手」の意味です。その通り、プレートには矢を射る女性と首を射抜かれている男性が描かれています。
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この作品についていくつかの資料を当たってみたのですが、背景がほとんど分かりません。今回、新しい資料が出てきたので「もしや」と読んだものの、矢張り結論から言うと分からない。
ただ、分からないなりに面白い視点があったので、自分自身の備忘録を兼ねて書きます(こういうパターンが多いですね)。
作者はBengt Berglund(ベングト・ベルグルンド)。製造年は1971年から72年。ベルグルンドはむしろ七宝を使ったアート作品で知られ、Bågskyttを含め食器のデコレーションは数点しかありません。
70年代の特徴を持ちながらも、明らかに中世のイメージで描かれ、資料によると中世スウェーデンの有名な教会壁画の画家、Albertus Pictor(アルベルトゥス・ピクトール/生1440 没1507)の影響を感じられるとのことでした。アルベルトゥスの教会絵画を調べると、背景の花や人物がちょっと似ているかな。
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アルベルトゥスの特に有名な絵画は、死神とチェスをしている男を描いたこちらだそうです。
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この絵画は、スウェーデンの名監督イングマール・ベルイマンによる、1957年製作の映画『第七の封印』で描かれる”命を賭けた死神とのチェス”のヒントになっているのだとか。
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現在では死神像の代表的なコスチュームとなっている黒いローブを着た白い顔の男は、実はこの映画のビジュアルが始まり。後の様々な映画やテレビドラマに影響を与え、パロディやオマージュも多く作られたそう。
と、グスタフスベリのプレートから始まって、ベルイマンの映画までダラダラと続いた、特にオチも結論も無いお話でした。ではまた!
ミタ

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