夏至祭の日に咲いたモナミの花

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今年(2013年)は、正確には昨日の6月21日が夏至でしたが、北欧では昨日が夏至祭前夜で、今日の6月22日が夏至祭です。夏至祭は冬が長くて暗い北欧にとって、一年で一番日が長い昼を祝う嬉しい日です。
残念ながら日本は雨の夏至となりましたが、60年ほど前の同じく雨に降られた夏至の日、一人の少女が傑作を生み出しました。1950年代、60年代にスウェーデンのロールストランドを代表するデザイナーの一人、マリアンヌ・ウエストマンのモナミ(Mon Amie)シリーズです。
まだ美術大学(Konstfack)に在学中だったウエストマンは、雨のためお祭に参加する気にはなれず、近くに咲いていたイソツツジ(スウェーデン語でSkvattram)の花のスケッチを始めました。

この花がイソツツジです。単純に図案化されたとはいえ、雄しべが長く、外に大きく飛び出した特徴がそのままモナミに表現されています。

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早くから認められ、大学在学中にはロールストランドで研修生として所属していた才能ある彼女ですが、まさかそのスケッチが後に35年に渡る大ロングセラーとなり、多くの賞を受け取るとは思ってもいなかったでしょう。
1952年の若干24歳の時に発表、1987年に一旦生産が終了しましたが、2009年に80代のウエストマン自身が関わって形を変えてロールストランドから復刻されています。正に生涯に渡る代表作となったモナミは、こうやって誕生しました。
モナミはフランス語で「Mon amie」と綴ります。そのまま訳すと「私の友達」ですが、amieとは女性を指すので、この場合「私の”女”友達」の意味になります。

夏至を祝うお祭の日に、踊ったり歌ったりの賑やかな人々の輪から離れ、一人スケッチブックにペンを走らせていた彼女は、雨の中で白く輝くイソツツジの花に親友にも似た感情を抱いていたのかも知れませんね。
モナミシリーズは下記リンク先からどうぞ。
Rörstrand Mon Amie

ミタ

今年の夏至祭は良いお天気になりそうですね。2013年現在、ウエストマンはいまもお元気だそうです。

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