究極の実用の美

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おはようございます。
先日フクヤとしてはちょっと毛色の変わった物を仕入れてみました。
私自身の好みを反映してか、フクヤの品揃えはあたたかい色のものが中心になっているのですが、先日ディーラーさんに勧められてステンレスポットとモノトーンのコーヒーセットを入手してみました。なんだか新鮮♪
こういったクールな雰囲気のものは、逆にカラフルなテーブルクロスに合わせるのが好みです。同じようなモノトーンのクロスを合わせると、間違いは無いのですが、まとまりすぎてつまらなくなってしまうので。ステンレスポットに写った色の遊びが楽しいのです。
このコーヒーセットはスウェーデンGefle社のもの。1960年代のヴィンテージですが、ほとんど使用感の無いとてもいい状態で入りました。可愛すぎるものに抵抗のあるような男性でも使えるデザインですので、カップルでそろえてみてはいかがでしょうか。
ポットは同じくスウェーデンのKockums Emalj社の1960年代のものです。社名に「Emalj(エナメル)」と有るように元々は琺瑯製品メーカーでした。1893年に創立し、赤、緑、青などカラフルな琺瑯製家庭用品を制作しましたが、なんと言ってもヒットしたシリーズは1935年に出したクリーム地に緑のラインを施したシリーズとか。
とはいえ、1950年代にはいると業績は悪化。おそらく、他のエナメルメーカーと同じく、新素材であるプラスチックやステンレスに押されたのでしょうね。
と、そのとき事態を打破するために呼ばれたのが、このポットをデザインした、フリーランスデザイナーのArne Erkers(1917 -)です。それから、Kockumsとは20年以上の付き合いとなりました。
デザイナーのやるべき仕事とは「できるだけ簡素で実用的なものを作ること」という考えを持った彼のデザインは、とてもシンプル。その製品を投入したことで、Kockumsは1963年から1966年までは業績が上向いたものの、やはり時代の波に乗れず、残念ながら1970年代には閉鎖してしまいます。
ところで日本の思想家、柳宗悦が大正時代に日本の民藝に名づけた「用の美」という言葉をご存知でしょうか?農具などの実用品が、装飾を施さず、ただ機能を追求したものが結果として美しい。
このポットの装飾性を排除した佇まいを見ていると、なんだかそんな言葉が思い浮かんできますね。ただただ、シンプル。だけどそこに突き詰められた美がある。
こちらのポットは来週くらい(いつ?)にアップ予定です。このポットも火にかけることが出来るので、先日ご紹介の琺瑯ポットと同じく、北欧風煮出しコーヒーを作ることが出来ますよ。
というか、そのように使われていたのでしょう。中が真っ黒でした・・・(いまは洗って、ピカピカです♪)。お楽しみに。
ミタ
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日本の民芸運動と北欧デザインって仲良しですよね。

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