新星という名のプレート

おはようございます。今日は成人の日ですね。
私が成人になったときは1月15日だったのですが、2000年より1月第2月曜日に変更されています。ハッピーマンデーとの名の政策で連休を増やし、国民に余暇を楽しんでもらうためとか。
そんな無理やりな連休を作るよりも、夏休みや有給をしっかりと取れるような社会に法改正をして欲しいものです(スウェーデンでは4週間の夏季休暇が法律で保障され、かつ25日の有給休暇消化率は100%です)。
さて、成人式にちなんで20年前に作られたお品を、と思って探したのですが、そうは上手く見つかりませんでした。写真のプレートはフィンランド、アラビア社のケーキプレートNovaです。

1988年のものですから24年前。20年を少し超えているのですが、まあ大体20年ですし、Novaという名も成人式にふさわしいかな、と思って選びました。
Nova(ノヴァ)とは英語で「新星」を意味します。
新星→しんせい→新成→新成人
なんてシャレではなく、novaはラテン語で「新しい」と言う意味のnovusが基になった言葉だからです。
ああ、やっぱりシャレかな。
このプレートはInkeri LeivoによるArcticaのフォルムに、Dorrit von Fieandtがデコレートを施したものです。不勉強ながらDorrit von Fieandtを知らなかったのですが、フィンランドにおけるもっとも著名な陶芸家の一人だそう。1927年生まれですが、まだお元気で今年(2012年)の11月に85歳を迎えます。
彼女の色彩に溢れ、生命感に満ち、ともすればくどいとも見える作品はフィンランドらしくないとも言われています。確かに北欧というよりも南欧の作風を連想させますね。
Photo by Indav OY
上の写真は2009年に撮られたものです。クリックすると拡大します。写真が大きいため、開くのが重くて申し訳ないのですが、彼女の作品世界を感じていただきたく、あえて小さくしませんでした。右下の床に、このNovaと同じデコレーションのプレートがご覧になれると思います。
作品も美しいですが、背筋の延びたドリット女史のお美しさにも感嘆。
元々アーティストとして活躍していたドリットですが、躍進したのは1986年にアラビアのアート部門に請われて6ヶ月契約をしたことがきっかけだそうです。アラビアで多くの名作を生み出し、結局12年間も所属したとか。けれども主にアート作品を制作していたため、所謂”食器”はそれ程多くはなく、なかなか日常的に作品に触れることはありません。
彼女は熱心な園芸家としても知られ、作品にはその興味の対象を生かした植物画が多く見られます。どの絵も自由で伸び伸びとした筆致で描かれ、一度見たら忘れられないような、独特のスタイルを作り出しています。
アート作品になると簡単には手に入れることは出来ませんが、食器ならその世界観を手軽に楽しむ事ができます。彼女の作品に興味が湧いた方は、下記リンク先からそのNovaのプレートをご覧いただけます。
→Arabia Arctica ケーキプレート (Nova)
ところで、本当はここで何か成人に贈る言葉でも語れば決まるのですが、私自身がいくつになっても未熟なため何も思いつきません。今朝、今年の新成人たちはバブル崩壊後に生まれ、ずっと不景気の中で成長したと報道されていました。アンケートでもこれから先は良くならないと答えた人が多かったとか。
成る程、そんな気持ちになるのか。
けれども、この仕事をしていると、若くして才気溢れ認められたアーティストばかりでなく、晩年に転機が訪れた多くのアーティストの人生に触れることがあります。ドリットもブレイクしたのは60歳目前の時でした。
まあ、これから先、悪い事ばかりではないよ、と新成人だけでなく自分自身にも言ってみる、頼りない先輩成人ですが、私の老後はよろしくお願いします。
ミタ
新成人にはしっかり休みが取れる社会を作ってもらいたいです。

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