「北欧 つくる、たべる、かわいいと暮らす」でも最初の方で、個人的に持っている物としてご紹介したうちのひとつ、赤と青のイヤリングを付けた女性のプレートの作者、インゲル・ヴォーゲ(Inger Waage)のデザインしたMay(メイ)ケーキプレートを今週アップします。
メーカーはノルウェーのスタヴァンゲルフリント(Stavangerflint)。製造は1960年代でしょう。当時新しかったシルクスクリーンの技術で、プレートいっぱいに鮮やかな黄色の花がプリントされていて、見ているだけで気持ちまで明るくなるようです。Mayとはノルウェー語ではなく英語の5月。ちなみにノルウェー語で5月はMai(マイ)だそう。
かつてスタバンゲルフリントの製品の多くはアメリカやイギリスなど、海外に多く輸出されたそうです。輸出を考えて英語で名前が付けられているのでしょうね。バックスタンプにはその他にも、プリントが釉薬の下にされている事(使っても落ちません、の意味)、洗剤に強いことが英語で書かれています。
さて、デザインに戻って、描かれている花は5月と考えると、アネモネでしょう。寒い北欧では、5月になるとやっと春。森にアネモネの花が咲くと、春が来たなあと実感するそうです。
5月に訪れたフィンランドの森でも、こうして白い野生のアネモネの花が咲き乱れていました。
フィンランドでは見ることができなかったのですが、プレートと同じ黄色いアネモネもあります。ノルウェー語でGulveisだそう。写真はWikipediaよりお借りしました。
デザイナーのインゲル・ヴォーゲは1923年生まれ。美大を卒業後しばらく個人工房で作品を作っていましたが、1953年にスタバンゲルフリントにチーフデザイナーとして迎えられます。1968年にスタヴァンゲルフリントがフィッギョに統合されたのちも、スタヴァンゲルに残された部門で仕事を続けますが、その部門が閉鎖された1979年に離職し、1995年に亡くなりました。
50年代から60年代にかけ、お土産品(小皿に街の風景が描かれている)や日常のテーブルウェア、それに子供用食器も多くデザインしました。写真の右奥にあるのは子供用シリーズのKrusマグです。こういったユーモラスでコミック的な表現だけでなく、写実的なものから、抽象的なもの、本にご紹介した女性のプレートのようなアーティスティックなものまで幅広く描き分けられる、才能にあふれたデザイナーでした。
私は個人的に彼女のアート作品が好きで、いつかきちんと紹介したいと思いつつ、何年も経ってしまいました。今日こそ、と思いましたが、上手くまとめることができそうにないので、もう少し考えます。もしご興味があればアート作品のひとつ、下記の鳥の柄の花瓶がお店にありますので、リンク先をご覧になってください。
→Stavangerflint 花瓶 (黄色と青の小鳥)
それでは、木曜日のアップをお楽しみに。
ミタ