前回と引き続き、アラビアのアートデパートメント(芸術部門)で作られた美しい深皿をご紹介します。
ぱっとテーブルに花が咲いたような、手彩色で彩られたこの器はSvea Granlundによるものです。彼女は1901年生まれ、アートスクールを卒業してすぐの1923年にアラビアに入社しました。
入社年から分るとおり、主な作品は1930年代から50年代に集中しています。そのため、このようにフォルムも柄もクラシックな作品が多く、フクヤの扱うラインからはずれるためにほとんどご紹介したことがありません。(写真は1940年代の作品)
アラビアでの所属年数が分らなかったのですが、こちらの写真は1950年代の終わりから60年代の初め頃に撮られたものです。
恐らく、冒頭の作品はこの写真が撮られたもう少し後、1960年代半ば頃の物かと思います。
同じ頃の作品を、フクヤでは過去に二つご紹介しています。
今回、3つ目が入ったので、あらためて彼女のプロフィールについて調べたのですが、既に分っていた生年と没年以外では配偶者名くらいしか新しい事実は発見できず、あまり果々しい結果ではありませんでした。また、彼女のサインは「SÅG」なのですが、ミドルネームはElenoraなので、Åがどここから出てきているかも分らずです。
写真のボウルは来週にアップ予定ですので、どうぞお楽しみに。
さて、彼女の50年代の代表作の一つに、同じく手彩色で作った牧歌的な絵柄の「Pirtti(ピルッティ)」シリーズがあります。製造年は1951年から56年。
大変に愛らしいシリーズなのですが、簡単に見つかるものではなく、あっても状態が悪い事がしばしば。
それが、秋の買い付け先で沢山揃っていました。長年ショップを経営しているオーナーさんも「初めて入ったよ」と自慢げです。
相当可愛らしかったのですが、矢張り価格もそれなりに…。
検討する事にして、今回は写真だけ撮らせていただきました。
ふとショップの片隅をみるとダンボール箱にPirttiが10点くらい乱暴に放り込まれています。オーナーさんが「ダメダメ、それは売り物ではないよ」と言うので手に取ると、ヒビや欠け、シミなど状態が悪いものばかり。
「猫の器を探しているんだけど、一つ買わせてもらえないかな」と頼むと、ぱっと明るい顔で笑って「いいよ、じゃあ、あげるよ」と。
もちろん、このお店とはオープン以来、年に2回訪れる長く親しい付き合いで、その日も沢山買い付けてこその言葉でしょうが、ありがたく、あまり目立たない場所に欠けがあるものを頂いてきました。
猫営業部長もさぞかし、喜んでいるでしょう。
「ウツワがいいといつものカリカリもおいしさがちがいます」by猫営業部長