童心にもどって

日本に在住しているデンマーク人が、日本のお弁当に驚いたと言う話を読んだことがあります。細かいところまでは覚えていませんが、デンマークでは毎日同じお弁当、薄切りパンに具を乗せたものなのに、毎日違うなんて真似できない、といった内容でした。
確かにピクニックなど特別な日でなく、毎日学校や職場に持っていく日常のお弁当がこれほどバラエティに富んでいる日本のお弁当文化は、世界でも特徴的かもしれません。最近放映されている東京ガスのコマーシャルが象徴的かも。
→東京ガスのサイト
ちなみに、このCM、ちらりとアラビアのヴァレンシアのプレートが写ります。
今では”デコ弁”というまるで絵画のようなお弁当が注目されているようですが、私が幼稚園のときでも母の作ってくれたお弁当には海苔で顔を作ったおにぎりや、黒ゴマと食紅で顔を描いたウズラ卵が入っていました。もちろん、ウィンナーはタコやカニ、リンゴはウサギです。
いわゆるデコ弁に比べると簡単なものですが、お弁当のフタを開けたときの嬉しさは忘れられません。なにせ、何十年たった今でも覚えているくらいですから。
さて、日本に比べるとシンプルなお弁当の北欧ですが、子供用の食器は半世紀以上前から随分と作られています。手元にあるフィンランド、アラビア社のカタログによると1930年代には既にミッキーマウス柄のセットが販売されていたとか。
セット、と書きましたが、欧米の子供用食器は可愛らしい箱に入ってセットで販売されていることが多いです。私は子供がいないので、日本ではどうなのか知らないのですが、セットにこだわるところが食器を単品で組み合さずに同じシリーズでそろえる習慣のある欧米らしいなあと思っています。これは今でも引き継がれているようで、イギリスに母が行った時に子供用の食器のセットが可愛くて、どれも欲しくなって困ったと話していました。
多くのセットはマグ、ボウル、プレートの3点のようです。ビンテージ品の場合はなかなか全部が揃いませんが、トップの写真は珍しく3点揃って入荷したもの。ノルウェー、スタバンゲルフリント社1960年代の子供用食器「ZOO」です。
たまたまなのですが、年末にデンマークやスウェーデンなど3ヶ所から仕入れた品物を整理していると、このZOOシリーズ以外にも子供用が集まっていました。

こちらは旧東ドイツColditz社のもの。プレートは以前入荷したことがありますが、今回はボウルとプレートが同時に入荷しました。プレートは女の子、ボウルは男の子です。

こちらは、トップの写真と同じStavangerflint社のApolloシリーズ。本来はプレートとマグの3点セットでしたが、ボウルだけが入荷しました。

こちらはスウェーデンBalo社のもの。Balo社は陶磁器メーカーのロールストランドがかつて経営していたプラスチック製造会社です。食洗機の使用のためでしょうか、色が薄くなっていますが、可愛らしさは失われていません。モチーフは赤頭巾ちゃん？
ボウルとプレートが揃って入荷です。

可愛らしい鳥の柄は、スウェーデンRorstrand社のPippi　Bofinkシリーズ。こちらも本来はマグがあるのですが、今回はボウルとプレートが入荷。

同じくロールストランドのTuff Tuffシリーズです。プレートだけが入荷。

最後もロールストランドのTant Huldaです。魚屋の元気な売り子さんが描かれていて、こちらはボウルだけが入荷しました。

子供用の食器は見た目に可愛らしく愛らしいのが特徴ですが、これらの食器類は当時大人用の食器も手がけていたデザイナーがデコレーションをしているので、デザインのクオリティも大人用に負けていません。
サイズも大人用とあまり変わらないので、私たちでも使えるところが嬉しいです。お子さん用にだけでなく、自分用としていかがでしょうか。今回撮影用に昔を思い出して、顔おにぎりとタコさんウィンナーを作りました。撮影後冷えたものを朝食として食べましたが、不思議と楽しく、美味しかったです。ちょっと童心に帰ってみるのも、料理のかくし味となってくれるのかもしれませんね。
ミタ

なぜか姉が使っていたアルミのお弁当箱が出てきました。私のお弁当箱は3匹のコブタだった気が・・・。