シナモンロールからアラビアの新作Keto-orvokkiまで

東京は朝から雨。猛暑が少し和らぐのを期待しています。
この暑さなら室温でパンが発酵できるな、と急に思い立って北欧風のカルダモン入りシナモンロールを焼きました。最近はスウェーデン風のねじり巻きに凝っていたのですが、数年ぶりにフィンランド風の両側の切目が持ち上がった形にしました。この形はフィンランド語でKorvapuusti(コルヴァプースティ)といい、直訳すれば“びんたされた耳”です。
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日本でコルヴァプースティを一気に有名にしたのは、大ヒット映画『かもめ食堂』と言い切れるでしょう。この映画は舞台となったフィンランドブームもおこし、実際映画を観て感動のあまり、フィンランド旅行に飽きたらず、フィンランド企業に転職した方やフィンランド語の勉強を始めた方にもお会いしました。
また、映画で使われた食器も人気に火が付き、アラビアの24h Avecは既に廃盤だったのが物語の中でおにぎりを乗せて登場したことで再生産のきっかけになったほどです。その24hシリーズを手掛けたのは、今も現役でアラビアで活躍しているヘイッキ・オルヴォラ(Heikki Orvola/1948-)。1968年にガラスメーカーのヌータヤルヴィ(Nuutajärvi)でキャリアをスタートした彼は、むしろガラスデザイナーとしての方が有名です。
代表作の一つが、プレスガラス技術で花びらが重なるような表情を付けたミランダ(Miranda/1971-75年)シリーズ。様々なアイテムがありますが、こちらは高さのあるケーキ台。ホールケーキだけでなく、写真のように小さなお菓子を盛り付けても素敵です。
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プレートは、アラビアのロングセラー、パラティッシ(Paratiisi)。瑞々しい果実で楽園を描いたデザインは、ビルイエル・カイピアイネン(Birger Kaipiainen/1915-88)が手掛け、1969年の夏至の翌日に発売されました。現在も継続して生産されていますが、コストの関係で元々のオーバル型が円形に改められています。写真は、発売当初のオーバル型。1969年の貴重なオリジナル製品です。
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パラティッシをデザインしたカイピアイネンは今年(2015年)生誕100年を迎えました。それを記念して、オルヴォラによる新作Keto-orvokki(ケトオルヴォッキ)が8月末に発売予定です。モチーフはカイピアイネンが愛し、果物と共にパラティッシに描きこんだスミレの花。 3段プレートもシリーズに含まれていますが、シナモンロールが乗っているのが、さすがフィンランド(写真はアラビアのオフィシャルFacebookから)。
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オルヴォラの個性を出しながら、カイピアイネンの雰囲気も感じられるのが素敵です。
オルヴォラ自身が出演している、プロモーションビデオは既にアラビアから出されています。有名デザイナーの名が聞き取れますが、フィンランド語が分からないため、何を語っているのか分からないのが本当に残念(誰か字幕を~)。

Arabia: Keto-orvokki / Heikki Orvola from dynamo&son on Vimeo.

また、この発表に合わせ、アラビアミュージアムではカイピアイネンの作品を展示した企画展も開催されています。会期は8月いっぱい。行きたかったのですが、どうしても買い付けをこの期間に合わせることができませんでした。これも残念すぎます。8月中にフィンランドに行かれる方は是非足をお運びくださいね。
ミタ

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