東京都の緊急事態宣言で中断していた世田谷美術館の『アイノとアルヴァ 二人のアアルト』展が再開したので行ってきました。
アルヴァ・アアルト(1898-1976)はフィンランドを代表する建築家です。どれくらい代表するかというと、2008年にフィンランドのヘルシンキ美術大学、ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学の三大学が合併し、アアルト大学と名を変えたくらい。聞いたときは創業者でもない、卒業生の名前を大学名にしたのかと驚きました。例えれば東京大学が卒業生の名前に変わったようなもの(北欧の学校はほぼ全てが公立)。
ヘルシンキ美術大学、つまり現在のアアルト大学で学んだ日本人デザイナーの梅田弘樹さんからアアルトは単にデザインするでなく、製造や販売までも関わっていたと話を聞き、なるほど美術・工科・経済かと腑に落ちました。
それほどまでにフィンランドで知られたデザイナーであるアルヴァ・アアルト。ところが彼が無名時代から支えた妻、アイノ(1894-1949)については今まであまり語られることはありませんでした。以前、アアルト邸を見学したときにガイドさんが、時代的に女性が表に出ることは少なく、アルヴァの作品の多くにアイノが関わっていたと思われるが名前が残されていないと説明してくれました。
世田谷美術館の会場では家具や当時を再現したインテリア空間に力を入れて展示されていました。
この企画ではアアルト邸も展示の内容に加えることで、アイノにもスポットを当てた展覧会となっています。アイノがどの作品にどの程度関わったのかはっきりと分からないのですが(ガイドさんの言う通り)暮らしに密着した使いやすそうな家具や間取りは二人の日常の中から生まれたのでしょう。
アアルト邸のアイデアとして特に有名なのはダイニングとキッチンを間仕切る食器棚です。扉も引き出しも両開きになっていて、ダイニングからもキッチンからも出し入れできるようになっています。こちらはレプリカが見事に再現されていて感心しました。
ちなみに、これが本物の食器棚。2009年にアアルト邸に見学に行ったときに撮影したものです。
再現と言えばアアルト邸のリビングの再現もなかなかのもの。(同じく2009年撮影)
こちらが本物のリビング。
アルヴァ・アアルト展は2019年に東京ステーションギャラリーでも開催されたましたが、その時よりも『暮らし』にスポットを当てた展示になっています。間取りや設えなどインテリア全体に興味のある方なら興味深く面白いでしょう。
展覧会は6月20日まで。開催期間が3か月もあるので、そのうち行こうと思っていたら、まさかの緊急事態宣言で休館を挟み、気が付いたら終了まで僅かになっていました。検討中の方はお早めに。
レストランではフィンランドテーマのメニューもありますよ。
2009年にフィンランドのアアルト邸を訪れた時にブログ記事のリンクを貼っておきますね。当時はなかった日本語ガイドやミュージアムショップが今はあるとか。日本人がそれだけ多く訪れるようになったのですね。あの頃はSNSもない時代ですし、撮っても披露する場も少なかったためか、あまり写真を撮らなかったのを今は後悔しています。コロナが収束したら10数年ぶりに、再び訪れたい場所です。
外に出たらアアルト展を見に来たスタジオ101の志乃ちゃんにばったり会いました。