タイポグラフィーのデザインが素敵なキャニスター

タイポグラフィーとは、活字の意味ですが、その活字をデザインにアラビアで作った1960年代の保存容器シリーズがあります。特にシリーズ名は無く、アラビアの当時のカタログにも「Purnukka(ジャー)」としかありません。
表面には様々な活字体を使い、「コーヒー」の言葉が上からフランス語、フィンランド語、スウェーデン語、ロシア語、英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語の9ヵ国語で書かれています(調べるのが大変でした!)。

デコレートデザインはエステリ・トムラ(Esteri Tomula)」。このコーヒー以外に、紅茶、砂糖、小麦粉用があり、いずれもそれぞれ、9つの言葉がデザインされています(小サイズは6ヵ国語)。
文字とはそもそも言葉(音)を書き表すための単なる記号ですが、使われている活字から音を連想することがあります。例えば、太い文字なら大きな音を、細い文字からは高い音を、といったことは誰でも心当たりがあるのではないでしょうか。
手元の本によると、異なる活字や様々な太さ、大きさの文字を自由に組み合わせて使ったグラフィックデザインは、1910年代半ばのダダイスムから始まったようです。

今では日常的なタイポグラフィーデザインですが、100年前はかなり斬新で新鮮に映ったことでしょうね。
このキャニスターがデザインされた60年代はポップカルチャー全盛の頃で、うねるような文字を使ったサイケデリックデザインが流行しました。サイケデリックな文字デザインを施したユニークなデザインも作られています。2012年にその製品について書きましたので、合わせてお読みください。
魅惑のサイケデリックデザインの意外なルーツ
それにしても、ビンテージの製品を見るたびに、これらのデザインが手で描き起こされている、ということに心打たれます。実際私が学校を卒業し、デザイン系の会社に入った時もコンピューターは無く、フォントを手でトレースしてデザイン上にレイアウトしてあれやこれや考えていたので、その作業は何となく想像が出来るからです。まあ、私の頃はコピー機がありましたから、縮小や拡大は機械がやってくれたので、まだましでしたが。
こちらのキャニスターは下記リンク先からどうぞ。手描きフォントの味わいをじっくりとお楽しみください。
Arabia コーヒー豆キャニスター (大)
Arabia コーヒー豆キャニスター (小)
ミタ

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