フィンランドに到着した時は、夜はマイナスまで下がり、朝になると一面霜に覆われていました。昨日、一昨日は雨で気温が10度を越えるほどまで上がったと思ったら、今日は1日中1、2度と気温が上がらず、霜は降りないのですが粉雪がちらつく寒い日でした。
トップの写真は宿の近くの湖です。森を抜けると突然湖が見える様は、まさに観光ガイドの謳い文句どおりの”森と湖の国”フィンランド。
10月半ばで既に冬の様相のフィンランドですが、森の中で足元を見ると低木に緑が残っています。特徴的な丸い葉っぱに気がついて、しゃがんで目を凝らすと僅かに赤い実が残っているのに気がつきました。
日本語でコケモモと呼ばれるリンゴンベリーかな。ベリーに詳しくないので、多分合っているとは思うものの、自信は今ひとつ。リンゴンベリーからはスウェーデンのミートボールに添えられているジャムを作ります。
リンゴンベリーの周りを探すと、ブルーベリーも辛うじて残っていましたが、すっかり葉が落ちて頼りなげな姿になっています。
さて、こちらはアンティークショップのお母さん手作りベリーケーキ。いちごを挟んだスポンジ生地に生クリームをたっぷり乗せて、ベリーで覆っています。紫色がブルーベリー、赤いのはクランベリーだそう。どちらもこの夏にお母さん自ら森で摘んだものです。
今年の夏は一人で170リットルものブルーベリーを摘んだとか。フィンランド人として普通なのか多いのか分かりませんが、得意気なので、ものすごく多いのでしょう。夏に来ればベリー摘みに連れていくから、来い、来い、と毎年誘われるのですが、来年こそと思いつつ、何年も経ってしまっています。
森の中で寂しく残ったベリーを見ると、これがたわわに成っているのはさぞかし美しかろうと、ますます見てみたい思いがつのるのですが。
さて、ここでは、こういった陶器類を中心に購入。
このフィンランド国旗はなんと60年代のアラビア製。おそらくお土産用に作られたのでしょう。面白いので買い付けました。
それからガラスも。Riihimäen Lasi(リーヒマキガラス)製品もいくつか。Riihimäen Lasiは1910年創業、1990年閉鎖。Grapponia(グラッポニア)で知られるナニー・スティル(1926-2006)も所属していました。
「ナニー・スティルといえば、ボーイフレンドだった歯医者が亡くなったときに家に行ってね」お父さんが思い出話を始めました。アンティークショップの仕入れ方法の一つに遺品買い取りがあるとスウェーデンのディーラーさんに聞いたことがあるので、これもその目的だったのでしょう。
「その歯医者は絵を描くのが趣味だったんだけど、家に大きなナニー・スティルの肖像画があったんだ」「へー」「それが、ヌードなんだ」「え!」「困ってリーヒマキに電話したら引き取ってくれたんだけどね、その後どうなったか分からない」と言ってあははと笑います。お母さんもニコニコ聞いているので、彼の得意な話の一つなのでしょう。
さて、そんなこんなで、今日でフィンランドの買い付けは終了。昨日までの4日間で9ヶ所廻って買い付け、今日はフィンランド国立ガラス美術館に行って、主席学芸員のカイサ・コイヴィストさんにお会いし、北欧ガラスについて教えて頂きました。
コイヴィストさんは昨年の「森と湖の国 フィンランド・デザイン」展のカタログに寄稿されているだけでなく、大阪と札幌での展示では来日講演を行っています。
私は残念ながら機会が無く講演を拝聴していないのですが、参加された方もいらっしゃるかも知れませんね。日本の感想を伺うと「スケジュールがタイトで観光が出来なかったのが心残りです」それから「大阪での講演では質問がなかったのですが、それはフィンランドでも同じなので気になりませんでした。それが札幌の時は多くの質問を受けて大変に驚きました」とおっしゃっていました。
なんだかイメージが逆ですね。
さて、アンティークショップのお母さんからは手土産に手作りのりんごケーキも持たせてくれました。ケーキと一緒に写っているりんごは宿泊先の宿主から庭で採れたとおすそ分けを頂いたもの。
これがりんごの木。すっかり採り尽くされていて、もう高くて手が届かないところに数個残っているだけです。宿主のエリナさんが「揺らすと落ちるかもよ」と言いますが、小鳥のために残して置きます。
ミタ
コイヴィストさんからは興味深い話を沢山伺ったので、いつか何かの形に出来ればと思っています。