アーリッカとナナカマド

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「アーリッカが亡くなったの、知っている?」昨日の1軒目のディーラーさんがまるで親戚が亡くなったかのような口ぶりで話しかけてきました。「いいえ、いつ?」「数か月前」。

アーリッカとは木でカラフルなジュエリーや置物を作っているメーカーAarikka(アーリッカ)の創設者Kaija Aarikka(カイヤ・アーリッカ)のこと。1929年生まれのカイヤは1945年にデザイン学校の卒業製作のドレスに合うボタンが見つからないからと、木で自作したのが、Aarikkaブランドの始まりでした。

たまたま前日に北欧へと向かう機内で読んだ雑誌に鳥の置物特集があり、数十個並んだ中の木で作った鳥に目が引かれキャプションを確認するとアーリッカのビンテージでした。アーリッカというと、まん丸の木をつなげた羊やクリスマスの妖精トントゥのような、かわいらしいイメージしか無かったので、こんなスタイリッシュなデザインもあるのだなあ、と強く印象に残っていたところに、この言葉だったので少し驚きました。

2軒目のディーラーさんを訪問すると、まさにその木の鳥が置いてあるではないですか。手に取ってディーラーさんに「アーリッカが数ヶ月前に亡くなったそうですね」と何気なく話しかけました。
彼女は悲しそうに眉をひそめ「そうなの…あとは娘が継ぐらしいわ」。その表情をみると、あまり良く知らない私でも、アーリッカがどれほどフィンランドの人に親しまれていたのかを感じられます。これも縁かと二つ買い求めてきました。

買い付けた小鳥は1990年製で「Satulintu」と呼ぶのだそうです。留り木の下にはアーリッカらしい木のビーズが下がっています。

ちょうど今の季節、フィンランドでは、この赤いビーズに良く似た真っ赤なナナカマドの実が木に下がっているのをあちこちで目にします。ナナカマドの実というと観賞用と思っていましたが、フィンランドの人はこれもベリー(marja/マルヤ)と言い食用にするそうです。

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フィンランド語でナナカマドはPihlaja、その実に砂糖を加えて火を通すことでゼリー状にしたものをPihlajanmarjahyytelöと言うそう。フィンランド語は単語がどんどんひっついて一つの単語を作る言語なのですが、これも全くその通りで、Pihlajan(ナナカマド)marja(果実)hyytelö(ゼリー)なのだとか。

もちろん、買い付けたのは小鳥だけではありません。これはその一部。ここには写っていませんが、かなり珍しい、カイピアイネンのビッグカップも含まれています。無事に届きますように。

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ところで、1軒目と2軒目のディーラーさんの途中、遠くにキノコのような建造物が見えます。これは1968年に作られた古い給水塔。今は展望レストランとして使われています。もうちょっと近くで見たかったのですが、時間がなくて断念。

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その代わり、と言っては何ですが、途中のカフェでサーモンスープを頂きました。

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フィンランド湾の海岸沿いに建つこのカフェはテラス席しかないらしく、多分5度くらいと東京の真冬の気温で外で食べるのはどうかと思ったのですが、案外日が当たるとポカポカと暖かく、思いがけず寛げました。海といっても穏やかで磯の香りがしないものですから、まるで湖畔にいるような気持ちになります。

ミタ

今日は3軒目で大量買い付け。これから鬼の梱包です。そこのお父さんから某デザイナーのおもしろい話を聞いたので、書ければまた明日。

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