賢明で勇敢である・・・

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おはようございます。
この写真はデンマークNymolle社の飾り皿です。小さな動物と戯れる美しい女性が描かれた華やかなイラストは、デンマークの国民的画家、Bjorn Wiinblad(ビヨン・ヴィンブラッド)によるものです。

こちらは、そのWiinbladのプレートと一緒に入荷した、旧東ドイツが輸出用に製造したの子ども用のプレートです。1枚にはライオン、もう1枚にはフクロウが描かれています。

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不思議な組み合わせですよね?動物を2種類選ぶなら、例えば犬と猫(ペット仲間)とか、羊と馬(牧場仲間)とか、何かしら似ているものを選びそうなものなのに、猛獣と鳥なんて。妙に心に引っかかります。
商品説明を書くためにじっと見ていると、ふと「ライオンってヨーロッパでは王の紋章に使われる勇気の象徴よね」と思い出し「そういえばフクロウは知恵の象徴だったな」と大昔に大英博物館で見たフクロウの彫像にあった説明書きの記憶が浮かんだところで、ハッとしました。
そう、この二つの動物を選ぶ理由はちゃんとあったのです。
子どもに「知恵」「勇気」を持って欲しいとの願いを込めていたのですね。
と、そこに気が付いたところで、やはり心に引っかかっていたトップのNymolleの飾り皿が頭に浮かびました。
この飾り皿、小鳥と描かれている方は「Sophie」、猫と描かれている方は「Louise」と女性の名前が付けられています。ヴィンブラッドは絵皿に季節や象徴的な言葉をタイトルとして選ぶことが多く、このように具体的な人名が付いているのは初めて見ました。
そのため、なんとなく違和感があったものの、何がおかしいのかうまく摑めないでいました。
「Sophie(ソフィー)」は英語では「Sophia(ソフィア)」、ギリシャに起源を持つ名前で”叡智”を意味します。実は以前英語を教わっていた先生の名前がソフィアで、そのときに意味を聞いて知っていました。
Sophieが”知恵”なら、もしかしてLouiseは”勇気”なのでは?
早速、英語の子供命名サイトでLouiseを調べてみると、ドイツが起源で意味は”famous warrior”、日本語で”名高き勇士”。つまり、「勇気」という意味があったのです。
改めて見てみると、Sophieの小鳥はフクロウと同じ鳥ですし、Louiseの猫はライオンの小型と思えます。一見ロマンチックな絵柄の、このプレートにも「知恵と勇気」のテーマが隠されているのではないでしょうか。
ヴィンブラッドは茶目っ気のある人物だったのか、絵皿のタイトルにはちょっとひねりのあるものを選ぶことが、まま有ります。今回もタイトルに仕掛けを施してくれていたようです。それともヨーロッパ人にはすぐに分る事なのかな?
Wise and Brave。賢く、勇敢であること。
欧米人の求めるひとつの理想の姿を、全く違う表現で描いた2種類のプレートです。ただいまサイトにアップすべく準備中です。セットで揃えるとよりそのメッセージが伝わるかと思います。どうぞお楽しみに。
ミタ

大英博物館で母にフクロウの説明書きを読んであげると「賢くなりますように」とフクロウの頭をなでていました。お地蔵さんじゃないんだから・・・。

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賢明で勇敢である・・・」への6件のフィードバック

  1. こ、これはアガサ・クリスティものの推理ですね。。何かの暗号みたい。
    意外とヨーロッパの人たちって、縁起担ぎ的なところありますよね。豚やテントウムシもしかり。。
    しかし子供の命名サイトで調べる三田さん、すごいです。翻訳家みたい!

  2. >>andymomさま
    美大付属高校の15歳のときから散々美術史で宗教画の象徴を教え込まれたので、モチーフの意味を探る癖が付いちゃっているんです。
    これは古代(キリスト前)からの象徴ですが、欧米の作品は今でも多かれ少なかれキリスト教の影響を受けている場合が多いので知っていると面白いですよね。
    アイルランド時代にケルト名に興味が沸いて命名の本をよく立ち読み(!)していました。自分の名前と同じ意味のものを見つけると嬉しかったりして♪妊娠・出産コーナーにいる謎の東洋人でしたが。

  3. へー。おもしろーい♪「知恵と勇気」。なんか青春まっただ中の頃を思い出すなあ。あの頃好んで読んだ本にはいつも「知恵と勇気」がベースがあって、気分が高揚したものでした。今日のブログ、とってもミタさんらしくて好きです。

  4. >>もももままさま
    大好きな”謎解き”バージョンでした。
    私も「知恵と勇気」ものは大好きです。映画ですが「アポロ13」なんて正にそのものですよね。

  5. なるほど!ライオンとフクロウのお話、とっても勉強になりました!
    うちの次女のミドルネームはアイルランドの名前なんですよ♪(一応4分の1アイリッシュの血が流れています)

  6. >>メグミさま
    そうなんだ!今度会ったときに教えてくださいねー!
    アイルランドの名前って綴りから想像できない音ですよね。私の友人の息子なんて8文字あって、たった2音。
    関係ないけれど、私が以前住んでいた通り名はアイルランド語で、綴りも難しければ、発音も難しくて。自分の住所が言えないなんて悲しかったわ。

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