南の国の強烈な色彩

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こんにちは。
昨日はいいバナナが手に入ったので、久しぶりにバナナブレッドを焼きました。
この場合の”いいバナナ”とは時間が経って茶色に変色したバナナです。以前はバナナブレッドのためにバナナを買ってから、茶色くなるまで数日待ったものですが、近所のスーパーでしばしば古くなったバナナを半額以下で販売しているのを知ってから待つ必要がなくなりました。
私としては嬉しいことなのですが、こんなにしょっちゅうではスーパー側の仕入計画はどうなっているのか、家族経営の小さなスーパーだけに気になるところではあります。

バナナブレッドはバナナ入りのパウンドケーキなのに、なぜか”ブレッド”と呼ばれています。由来について、ざっと調べたのですが、何故ブレッドと付いているのか良く分かりませんでした。ただ、大変古い歴史を持つケーキで、アメリカの料理本に最初に登場したのは1933年。更に18世紀には既に作られていたのではないかと言われています。
恐らく最初はケーキの様にふっくらしたものではなく、アイルランドのソーダブレッドや、アメリカのコーンブレッドのように重曹で膨らませるクイックブレッドとして作られていたのではないでしょうか。まあ、単なる私の推測ですが・・・。

それにしても当時は高級な果物であったであろうバナナのレシピが数百年前からあるとは驚きですが、16世紀ごろから始まっていた、ヨーロッパの南米やアフリカへの植民地計画が関係しているのかも知れません。実際バナナがイギリスに伝わったのは16世紀、ポルトガルやスペインの貿易船が運んできたのだそうです。
さて、写真でバナナブレッドを乗せているのは、ドイツVilleroy&Boch(ヴィレロイ&ボッホ)のAcapulcoシリーズです。このシリーズはバックスタンプに”Made in Luxembourg”とあるので、少し混乱してしまうのですが、これはルクセンブルクの工場で作られたとの意味です。

鮮やかな色彩は、このデザインを作り出したテキスタイルデザイナーのChristine Reuterが、休暇でメキシコを訪れた時に目にした絵画に触発されたものです。

絵画に限らず、メキシコには力強い色彩による大胆な配色が溢れています。
これは去年メキシコに行った時に、フラリと入ったレストランのインテリア。正にアカプルコシリーズで使われている色ではありませんか?

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暗く寒い国から来たヨーロッパ人にとって、この色彩の洪水がどれほど印象的だったのか、特に情報がそれほど無かった1960年代の人にとっては、現代の私たちが想像する以上に強烈なものだったでしょう。
私もメキシコではその色彩には圧倒されました。そのときの印象を少し書いていますので、よろしければご覧下さい。
色鮮やかな街で

メキシコの国民的な画家としてディエゴ・リベラが有名ですが、国際的には”フリーダ・カーロの夫”の方が通じるかもしれません。
多くの壁画を残した彼の代表作のひとつは、この国立宮殿の巨大壁画「メキシコの歴史」です。

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多くの画家、例えば日本では岡本太郎に影響を与えた彼の作品ですが、壁画は現地に足を運ぶしか見る方法がありません。それもまた、彼の作品があまり国外に知られていない理由かも。

「メキシコの歴史」ではアステカ建国から20世紀初めまでのメキシコの歴史が描かれています。特に胸が痛むのは、スペインに征服された際にスペイン人が現地人に対して行った残虐行為を描いたものでした。支配者に対するディエゴの怒りは、太い筆致と鮮やかな色彩で表現されています。
壁画は1935年に完成していますから、Christine Reuterももしかすると訪れて、この力強く色鮮やかな作品を目にしているかもしれませんね。
Acapulcoシリーズは大変なヒット作で、1967年に発表されてから、様々なアイテムを追加したり、微妙にデザイン変更しつつ1994年まで生産されました。最近では2008年に限定生産品として復刻もされた根強い人気のデザインです。

現在フクヤではカップ&ソーサー(ソーサーがカップと合わないのでお買い得価格)とピッチャーがあります。

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これからだんだん気温が上がってくると、このような暑苦しいデザインもいいかもしれません。毒を持って毒を制す・・・という・・・(本当かなあ)。

ミタ

明日は塩辛いおやつを作ろう。

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南の国の強烈な色彩」への4件のフィードバック

  1. ミタさん、今回はバナナという単語が沢山でてきて、私目が回りそうでしたよ、というのは嘘ですけど。そう、(知るか、って?)私が食べられない食べ物の代表です。うふふ。
    北欧などでバナナが消費されている様子を見聞きするにつれて、気になってはいたのですが、やはりミタさんの指摘するような歴史が関係しているんでしょうね・・・
    でも、お皿はとっても素敵です。

  2. >>andymomさま
    なんと偶然!実は私もバナナがダメなんです。でもダメなのは”生バナナ”。お菓子になっちゃうとむしろ好きだから不思議です。
    そんなわけで、幼稚園のおやつ、小学校の給食がバナナのときは苦痛の時間でした(食べなかったけど)。

  3. バナナケーキも作ったのに未だある迫りくる期限のバナナ、エイっとカレーに入れたら美味でした♪

  4. >>もももままさま
    リンゴと蜂蜜、そしてバナナ。
    カレーって何入れてもカレーになってしまう懐深さが神秘的ですね・・・・。

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