おはようございます。
家人のリクエストでアップルパイを焼きました。今月に入って2回目。お菓子にはいつも酸味のある紅玉を使います。あまり取り扱いのない品種ですが、近所の家族経営の小さなスーパーには常備しているので助かっています。
家人の留学でアイルランドに住んでいたときは、頻繁にリンゴのお菓子を作っていました。アイルランドにはクッキングアップル(ブラムリー)と呼ばれる、酸味のある大きな青リンゴ(1個500gくらい)が気軽に手に入り、とても安かったので。ブラムリーはイギリス原産で、イギリスとアイルランド以外ではあまり作られていないようです。
寒くても実り、日持ちがするリンゴ。そのため北欧では豊穣の象徴としてクリスマスの飾り付けに使われる程愛されています。スウェーデンの友人は毎年秋に庭のリンゴで20リットルのリンゴピューレ(Äppelmos)を作って冬に備えるそう。
さて、写真でアップルパイと合わせたプレートとコーヒーカップは、スウェーデンの老舗ロールストランドで1970年代頃に作られた、Nyponrosシリーズです。リンゴの花にとても似ていますが、Nyponrosとは野生種のバラであるイヌバラのことで、イギリスで野バラといえばこの花を指すとか。リンゴもバラ科ですから野生のバラに花が似ているのは当たり前ですね。
フォルムデザインはロールストランドの人気デザイナーである、マリアンヌ・ウエストマン(Mariannne Westman)、この愛らしい野バラ柄はイギリス北アイルランド出身のJackie(Jacqueline) Lynd(ジャッキー(ジャクリーン)・リンド)が描きました。
1948年生まれのジャッキー・リンドは外国で働くのは面白そうと、1974年に1年だけのつもりでロールストランドで職を得ました。ところが、スウェーデンの自然に魅せられ、40年経った今もスウェーデンでデザイナーとして活躍しています。
ジャッキー・リンドの背景について詳しくは以前書いた下記リンク先をご覧ください。
English man in・・・
作品のテーマの多くを花に求めた彼女は、ロールストランドの花の妖精とも称されます。カップやプレートに繊細なタッチで描かれた野バラは可憐で優しげ。
イヌバラはスウェーデンでも見られますが、イギリス育ちのリンドには馴染みの深いものだったでしょう。私は5月のアイルランドで思いがけず満開の桜を見たとき、はっと心を突かれる思いがしましたが、リンドもイヌバラを見て故郷を思ったことがあるのかもしれません。
実は個人的にはリアルな植物画の食器は苦手なのですが、このシリーズだけは心惹かれています。理由は分かりません。
イヌバラは英語でも”Dog rose”といい、”犬”には価値が無いバラ、の意味が込められているとか。栽培種のバラに比べると確かに見栄えは劣るかも知れませんが、深い愛情を持って描くと、このように美しく魅力的に見えるのですね。
ミタ
アップルパイの土台には砕いたスウェーデンのジンジャーブレッドクッキーを敷きました。クリスマスの残りですが、風味付けとリンゴの水分を吸うためです。
ところで蛇足ながら桜もバラ科。