フルーツソーサーって何だろう

秋のフィンランド買い付けでアラビア製の小さな浅いボウルを見つけました。ロゴから60年代の製品。手彩色に味わいがあるし、ちょっとしたものを盛るのに便利そうと、有るだけ買い付けました。
151230-1
帰宅して資料を当たると、Olga Osol(オルガ・オソル)デザインのBotnia(ボトニア)シリーズ。型名には「FRUITS SAUCER」とあります(8番)。
151230-5
ん?

フルーツソーサーってなんだすか?

色々当たって調べると、洋食器についての資料が出てきました。以下、私の拙訳&抜粋です。それでも少し長いですが、最後まで読むとなかなか面白いですよ。

フルーツソーサー
中世及びルネッサンス時代、肉類は新鮮とは言えなかった。味を誤魔化するため、香りを加えるため、消化を助けるためにソースが使われた。ソースの語源はラテン語の”salire(塩をする)”であるが、単に塩をするだけでなく、ワインや数種類のスパイスを混ぜた液体のソースも用いられた。召使たちはソースを”ソーサー”に入れて食卓に運んだ。ソーサーとは直径6インチ(約15cm)程の小さく浅いお皿で、肉の次に木皿に乗せ供された。
16世紀から17世紀にはソーサーは、浅い直径5から8インチ(約12から20cm)の円、あるいは楕円で、時には両側に持ち手が付いた。1728年刊行の辞書Universal Etymalogical Dictionaryには、ソースを入れるための小さな食器、と説明されている。ジョージ1世(1714-1727)とジョージ2世(1727-1760)時代にはピクルスを供するのに使われた。
今日、その小さく浅い器は、フルーツディッシュ、フルーツソーサー、サイドディッシュ、ベリーボウルなどと呼ばれている。形状は直径4から6インチ(約10から15cm)、深さ1インチ(約2.5cm)程度、およそ6オンス(約175cc)のソースが入る。料理ごとに皿が交換される正餐では使われることは無く、略式の場のみで使われている。

つまり「ソーサー」と聞くとカップの受け皿を思い浮かべてしまいますが、そもそもは「ソース」を入れるものだったのですね。

また、アンティークについて書かれた他の資料を当たると、ソース用の浅い食器が「フルーツソーサー」と呼ばれるようになったのは1970年代頃からとありました。

ここから先は私の推測ですが、古くはソースを入れるために使われていた小さく浅いボウルは時代とともにソースではなく他の目的(ピクルスやフルーツなど)に使われるようになり、今やソースにはほとんど使われないにも関わらず「ソーサー」の名称はそのまま残った、という事かな?

最初に出したアラビアの資料は1967年刊行の複製です。フルーツソーサーの名称が1970年ごろから、となると時代的にも合いますね。サイズは直径12.5cm、高さ2.5cmと、当たり前ですが、面白いくらいピッタリ。

さて、こちらの「フルーツソーサー」は来年最初のアップに登場します。フルーツ、サラダ、ピクルス、もちろんソースにもどうぞ。

個人的には猫の器にもピッタリサイズ。

【この記事をシェア】

コメントを残す

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る