1950年代の実用シリーズDUKAT

デンマークから、愛らしいデコレーションのシリーズが入荷しました。デンマークから入りましたが、スウェーデンのカールスクローナ(Karlskrona)製。


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カールスクローナは1918年創業。主にレストランや家庭用の食器を製造し、約500種類のフォルムに7000種類以上のデコレートをしたシリーズを持ち、1933年には王室のウェディングギフトとして選ばれたこともあります。1942年にUpsala-Ekebyに買収され、UEグループとなりますが、1968年には完全に閉鎖しました。

今回入荷したシリーズのバックスタンプには、カールスクローナの刻印があったのですが、デコレートの雰囲気から1940年代以前の物とは思えず、ざっと調べた事を自分用のメモも兼ねて書きます。

バックスタンプにはカールスクローナの刻印と一緒に「DUKAT」とありました。

DUKATとは1954年にカールスクローナが実用的なシリーズとして、料理人のTore Wretman(1914-2003)の協力を得て開発したものです。Tore Wretmanはスウェーデン美食アカデミー創立者の一人であり、著書やラジオ出演などもある著名人で、今でいうカリスマシェフでしょうか(テレビではなくラジオ、というのが時代を感じさせます)。デザインにはやはり著名なデザイナーであるSven Erik Skawonius(1908-1981)が関わりました。

専門的なことは分からないのですが、DUKATは素材を密に焼結することで底に釉薬を施さなくても水を吸いません。実際底は素地のままなのですが、水を掛けると弾いたので感心しました。

また、素地だけでなく釉薬にも硬いものを使うなどの素材の丈夫さだけでなく、破損しやすいつまみや蓋の形も割れにくい形にデザインしました。使いやすさの点でいえば、キャセロールの蓋に蒸気抜けの穴を作ることで加熱のし過ぎを防ぐなどは、料理人であるTore Wretmanのアドバイスを感じさせます。

スタッキングができるようにも作られていて、省スペースでの収納が可能。プレートのサイズは、スウェーデンで一番一般的な14.5cm、18cm、22cmで統一することで、他の食器と収納する際の利便性も考えられています。

他にも細かな工夫が随所にあり、徹底的に実用にこだわった製品です。

このシリーズは1955年に開催された伝説的なデザイン博覧会『H55』に出品され、大変なヒット製品となったそうです。

今回入荷の、この明るく楽しい柄はFiestaといい、DUKATシリーズで最初に出されたものです。その後、シリーズの人気に伴い様々なデザインが続きました。


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赤と黄色の花柄は食卓を明るく彩ります。素材や形だけでなく、使いたくなるようなデザインも、ある意味実用なのかも知れません。

今回調べたことは、全部を商品説明に書くわけではありません。なので紙資料を保管すると同時に、思い出せるように、こうやって自分用のメモ代わりにブログを書くことがあります。たまに入荷商品についてネットで調べていて、自分の何年も前に書いたブログに行き当たり「あれ?」と思うことがあります(案外忘れているものです)。

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