ヤンソンの誘惑専用のお魚プレート

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こんにちは、スウェーデンの名物料理の一つといえば「ヤンソンの誘惑(Janssons frestelse)」がありますね。細切りにしたジャガイモと玉ねぎとアンチョビをかさね、生クリームをたっぷりかけてパン粉を降り、オーブンでカリカリに焼いたお料理です。
上の手彩色のお皿は先日入荷した、スウェーデンJie社の「ヤンソンの誘惑」専用オーブンディッシュです。ヤンソンの誘惑に欠かせないアンチョビの形にシリーズ名もそのまま”Janssons Frestrlse(ヤンソンの誘惑)”ですから、その面白さと言ったら、たまらないですね。

ところで、グラタン料理用にしては、やけに浅いお皿と感じませんか?実は以前、スウェーデン人のマリアンヌさんからヤンソンの誘惑を教わったときに、私としては全然知らなかったことが2つありました。
一つは浅いベーキングトレイで作るということ。ベーキングトレイについては以前フィンランド風パンケーキをご紹介したときに書きましたが、オーブン用の金属トレイで、天板のようなものです。
グラタン系の料理と言えば、深いキャセロールにこんもり作るイメージがあったので、浅いトレイを使うことは全く意外でした。

こちらがそのスカンジナビア・アンチョビの缶です。

もう一つは、スウェーデンのアンチョビは日本で手に入るイタリアンアンチョビと全然異なるものだと教わったことです。
実はアンチョビと名前は付いていますが、中身はイワシではなく、小さめのニシンの一種、スプラット(日本語名不明)だそうです。しかも塩漬けではなく、生姜やサンダルウッドで風味をつけ、甘く調味したものなのだとか。

手元の1976年発行の料理本「Scandinavian Cooking」によると、このアンチョビに代わるものは無く、入手は困難だが、日持ちするので機会があれば手に入れてこれを使うように、とアドバイスが書かれています。
確かに散々探しましたが、日本国内でAnsjovisの販売店を見つけることは出来ませんでした。けれども本が発売された35年前と今は状況が異なります。
はい、そうです。ネットでスウェーデンから購入可能です。
スウェーデンの様々なアイテムを主に海外在住のスウェーデン人向けに販売している、”SverigeOnline”で入手できます。
Abba: Grebbestads Anchovy – Fillets, 125g
リンク先にはヤンソンの誘惑のレシピもあります。英語ですが、どうぞご参考になさって下さい。
このサイトでは食品だけでなく、歯磨きやカレンダー、小さなスウェーデン国旗やゴシップ雑誌までありとあらゆるスウェーデンのアイテムが販売されています。スウェーデンの生活をちょっと垣間見ることが出来るかもしれません。
ちなみに、フィンランド版の”SuomiKauppa”もありますよ。
SuomiKauppa

さて、「ヤンソンの誘惑」という奇妙な名前ですが、菜食主義で宗教家のヤンソンさんもその誘惑に負けてしまったほど美味しかったのが由来と広く信じられています。また私もそうなのかと思っていましたが、全くの作り話との説があります(スウェーデンでは、オペラ歌手Pelle Janzon (1844-1889)に由来説もあります)。
スウェーデン人作家のGunnar Stigmarkが1989年に書いた”Så var det med Janssons frestelse”で、ヤンソンの誘惑の名づけ親は自身の母親であるとしています。
なんでも、この料理は古くからストックホルムの裕福な家庭ではおもてなし料理として人気のメニューで、当時は単に”アンチョビとジャガイモのキャセロール”と呼ばれていたとか。1929年の新年パーティーでこのキャセロール料理を作ったGunnarの母はちょっとした思いつきで、1928年公開のEdvin Adolphson主演ヒット映画”Janssons frestelse”にちなんで名づけたらしいです。
これが「ヤンソンの誘惑」誕生の瞬間(?)。
真相は藪の中ですが、個人的には宗教家ヤンソン氏云々説は眉唾なのではないかなあ、と思っています。だって、あまりにも面白すぎるエピソードって、かえって作り話っぽくないですか?真実って往々にして大して楽しくはないのですよね。

ミタ

フィンランドの白樺のカップ「ククサ」にまつわる”贈られた人は幸せになる”は日本人が考えた作り話です。フィンランドでは、山の川の水以外で洗うと幸運が逃げる、と言われています。つまり、洗わないのか!

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