「業務用」という言葉には何か魔力がある気がします。
“美容院の為に作られた・・・”
“ホテル専用の・・・”
“プロが愛用する・・・”
ぐぐっと来ませんか。
何故、業務用が魅力的なのか考えてみたのですが、一つにはパッケージが簡単で、(物によっては)大量なので単価が安いことが挙げられるかもしれません。
そして、特定の用途に特化しているから汎用性は無いけれど、その機能に関しては優れている点。
最後に、その業界のプロが選んでいるという品質に対する安心感。もしかしたら、これが一番の魅力、と思う方もいらっしゃるでしょう。私もその一人です。
さて、写真のポットはArabia Kasinoシリーズ。デザインはGoran Backです。手元の資料によると、Goran Back(イエラン・ベック)は1923年生まれ、カイ・フランクの元での原型製作の仕事を経て、後に主にレストラン用食器をデザインしていたとか。
このポットもレストランや公共施設用に、1968年にデザインされたGBモデルの一つです。このデコレーションはKasino。1978年から1991年までの生産ですが、1970年代のものが入荷しました。
デコレーションは異なりますが、同じGBモデルのカップ&ソーサーが当時どのように使われていたのかが分かる写真が手に入りました。
写真で見てお分かりの様に、カップもソーサーもスタッキングできるようにデザインされています。また、食器洗い機にかけたとき、底に水がたまらないよう、糸底に切り込みを入れてありますね。
フィンランドに限らず、海外で気楽なカフェテリアに行くと、このように給湯器の横にカップがスタッキングされていて、自分でカップを取り飲み物を注ぐようになっているのを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
利用客がカチャカチャと乱暴に取り扱うことも考えてでしょう、厚みのあるしっかりとした作りになっています。
このポットはふたが大きく、内側の縁をとても小さく取ってあります。蓋の内側の縁は割れやすいですものね。更に注ぎ口も短く、太い。ここも良く欠けちゃいますよね。蓋のつまみも大きく取っているのも、破損しにくくするためでしょう。持ち手も大きく、しっかりと持ちやすく出来ています。
シンプルで丈夫。でも、それだけでないのがこのシリーズの魅力です。装飾的な要素を取り去り機能に特化した結果、装飾に頼らない凛とした美しさがあります。
実際このモデルは人気があったようで、白一色の”Keati”、黒一色の”Korpi”、茶の”Krouvi”など様々なデコレートがつくられました(全部”K”で始まる名前ですね!)。
また、このポットの嬉しいところは、容量が少なめなところ。北欧のポットは沢山飲む国民性を反映してか、容量が1リットルを超えるなんて普通なのですが、このポットはいっぱいまで入れて750ccです。
普通に使う場合は650ccくらいかな?カップ3、4杯くらい。飲食店で大容量のポットは不要ですものね。家庭で使うには、フィンランド人にはもの足りないかもしれませんが、日本人に丁度いいサイズです。
こちらのポット、再来週あたりにアップする予定です。シンプルで実用的なポットを探していた方にお勧めです。
ミタ
イギリスをドライブしたとき、サービスエリアのカフェに入ってビックリ。なんと一人用のステンレスのポットにティーバッグを入れたものが3、4段に山積み!これを1個取って自分でお湯を注ぐのですね。さすが紅茶の国と感心しました。写真を撮っておけばよかったな・・・。