フィンランド滞在も残すところ2日となった6日目は遠出するために早起きです。外を見ると木々の枝が真っ白に。これって、随分と前にお酒のCMで見た事のある『樹氷』ってやつでしょうか?
支度をして外に出ると夜の間に薄っすらと積もった雪に宿猫スムちゃんの足跡が。スムちゃん出勤早いねえ。
道中に見たクリスマスツリーの植木畑…かどうかは知りませんが、毎年大量のクリスマスの生木が売られ、ワンシーズンで廃棄されているのだから、どこかで育てているハズなんですよね。
2時間半ほどで目的のショップに到着。本当は店休日だったところを開けてもらいました。出発前に取り置いてもらっていたものにプラスしてまとめて買い付け。
一段落したところでオーナーさんのパートナーの女性が手づくりのサーモンとポテトのパイを出してくれました。余談ですが、このショップのカップルはそれぞれが離婚経験者で、二人は結婚の形式をとっていません。日本的に言うと『内縁の夫婦』なのですが、フィンランド(他の北欧でも)では特別なことではありません。
サーモン&ポテトパイの後は、これも手作りのベリーパイ。店休日ということで他に来客はなく、パイに舌鼓をうちながらコーヒーを飲んで、周りを気にすることも無く世間話をしました。
このショップはフクヤをオープンした頃からの10年以上のお付き合いです。最初に訪問した時「遠い日本から初めて客が来た」と驚き、車で観光案内までしてくれました。
その後、ネットに力をいれ、何年か前には日本の雑誌で紹介されました。それがきっかけなのか、いくつもの日本のショップからの注文や訪問を受けるようになっています。会うと面白そうに「これも、これも、これもフィンランド語の名前つけている」と取引のあった日本の店名を挙げてくれます。そんな話を聞くにつれ「行っても目ぼしいものは無いかもな」と逆に足が遠のきつつあり、気持ちも離れつつありました。
手づくりのパイを頂きながら、ふと「娘さん、最初に会った時、13歳?14歳だっけ?どうしているの?」と彼女の方に話をすると「いまは23歳。ボーイフレンドと一緒に住んで犬を飼っているの」とスマホを取り出します。てっきり娘さんの写真を見せてくれると思いきや犬の写真で大笑い。
彼女がオーナーさんを指し「彼の息子は結婚して子どもが生まれて、彼はおじいちゃんになったのよ!」と(ちなみに、彼女は一人娘と、彼は二人の息子との連れ子同居)。初めて会った時は軍隊から戻ったばかりと紹介してくれた息子さんです(フィンランドは徴兵制度があります)。彼が取り出したスマホには金髪の可愛らしいお孫さんの写真。それを見て、10年前はブラックベリー(欧米で普及していたキーボード付きスマートフォン)を使っていたのになあと時代の変化を感じたりして。
そうやって、ゆったりとした寛いだ雰囲気の中で懐かしい話をしていると、以前のような親しい気持ちが蘇ってきました。帰り道では「今日は行って良かったなあ」とあたたかな思いに包まれました。まあ、ゆっくりできたからとはいえ、ご迷惑なので次からは店休日は避けましょう。
心だけでなく、気温も温かくなり始め、宿に着くころにはややマシなお天気に。帰宅を狙って、中に入れろと鳴くスムちゃんの背景からも雪が消えていました。
ミタ