お父さんの趣味は何ですか

アラビアの大きなカップ。趣味をテーマにしたシリーズで、その名も『Hobby/Harraste』です。
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手前が『釣り』奥にあるのが、『狩猟』。釣りはともかく、狩猟というのが北欧らしいなあと感じます。日本では狩猟はかなり特殊な趣味ですが、北欧では普段は街で会社勤めという人が狩猟をするのは珍しいことではありません。実際、私の友人にもいるし、他の友人の家でも親戚が獲ったという野生肉をご馳走になることが何度かありました。
カップだけでなく、ソーサーにもテーマに合わせて可愛らしい絵が描かれている、凝ったデザイン。
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プリント技法は、恐らくシルクスクリーンの1色刷り。それに手彩色で服の色やソーサーとカップのラインが塗り足されています。アラビアがシルクスクリーンの多色刷り技術を実用化するのは、60年代後半になってからです。ホビーシリーズはその前の50年代の製品ですので、当時の技術で多色にするために手彩色と組み合わせたものです。
イラストはアラビアの人気デコレーター、ライヤ・ウオシッキネン。ここでご紹介した釣りと狩猟以外にもスポーツやガーデニング、切手収集などの絵柄があります。描かれているのはどれも男性で、男性の趣味をテーマにしているのでしょう。
ところで、この二つのカップのフォルムが違う事にお気づきでしょうか?
奥の狩猟のフォルムはELモデル。フォルムデザイナーは不明ですが、1953年のデザインと資料にありました。ホビーシリーズのデコレーション製造期間は1953年から1956年(あるいは57年)。
手前の釣りはXBモデルで、1952年(あるいは53年)にカイ・フランクがフォルムをデザインしたもの。このフォルムは様々なシリーズに使われました。ホビーシリーズのデコレーションは、1956年から1964年(65年)ですので、何らかの理由でELモデルが生産終了し、その継続モデルとして選ばれたのかと思います。どちらも450cc程入るかなり大容量のカップです。
つまりホビーシリーズは、2モデルの合計で1953年から1965年までの10年以上が生産期間です。モデルを変えてまで長く作られたのですから、人気があったのでしょう。描かれているのが男性ばかりなので、男性への贈り物として企画されたシリーズなのかな。
そう考えると、休日に家族からプレゼントされた大きなカップでたっぷりとコーヒーを飲んで、趣味にいそいそと出かけるお父さんの姿が目に浮かびませんか。
ミタ

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