スウェーデン映画『リトル・エッラ』感想&監督来日情報!

来月、春の訪れとともに爽やかなスウェーデン映画『リトル・エッラ』が日本にやってきます。

監督はノルウェー映画『ロスバンド』で高い評価を得たクリスティアン・ロー。原作はスウェーデンの絵本『LILL-ZLATAN OCH MORBROR RARING/リトルズラタンと大好きなおじさん』。ズラタンとはスウェーデンのサッカー選手ズラタン・イブラヒモヴィッチのことです。スウェーデン語はZをSで発音するので、スウェーデン人はスラタンと言うのですが。

人と仲良くするのが苦手な人もいる。特にエッラにとっては難しいことだった。
エッラが唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。
両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、夢の1週間は悪夢へと変わってしまう!
オランダからトミーの恋人スティーブがやってきたのだ。
トミーとスティーブは英語で話すため、何を話しているのか全く分からないエッラ。
のけ者にされたような気分になり、トミーを取られるのではないかと気が気でない。
親友を取り戻したいエッラは、彼女と友達になりたがっている転校生オットーの力を借りて
スティーブを追い出すための作戦を実行するのだが…。

映画『リトル・エッラ』公式

エッラは友達がいない子です。冒頭でバカンスに行く両親に友達を作れと言われるシーンがありましたが、私も中学校に上がるときに姉に中学生になったら一人は友達を家に連れてくるのが課題と言われた事があります。

そう、私も友達がいない子供でした。

友達と遊びに行くことも、家に誰かが来ることもなく、まっすぐ帰宅して一人家で本を読んでいるか絵を描いているか。学校の休み時間は図書館で片っ端から本を読んでいましたし、校庭に出ているときは一人で石を埋めては数日前に埋めた石を掘り返しているか、運動場に寝転がって雲の動きを見ていました。なのでエッラの気持ちが分かる。友達なんかいらないは、負け惜しみでなく本音。気が合わない人に合わせるくらいなら一人で遊ぶ方がよっぽど楽。

それにエッラには大親友のトミー叔父さんがいるので別に友達なんていらない…と思っていたのにオランダから叔父さんの恋人スティーブがやって来てトミーの家に滞在しているではないですか。頭に来たエッラはあの手この手を使ってスティーブを追い出そうとします。

自分を重ねてエッラに感情移入していた私も当初は「スティーブ許さじ!」とエッラを応援しながら観ていたのですが……スティーブってとってもいい人なんです。そのうえトミー叔父さんと互いに思いやりを持って愛し合っている。

トミー叔父さんから受ける愛を当然の権利のように思っていたエッラ。でも、もしかしたら叔父さんを失ってしまうかも知れないと悲しみ傷ついて、ようやく自分以外の人たちの痛みや悲しみ、そして友情や愛情がいかに得難いものだったのかに目が向くようになります。

自分本位だったエッラが様々な体験を経て物語の中で成長し、さて最後にエッラが取った行動は?

この物語では普遍的な嫉妬や愛情をテーマに描くのと同時に、同性カップルやトランスジェンダーまた男の子がすると思われがちなサッカー好きな女の子が登場する現代的な要素も扱っています。

2016年公開のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』では同性愛者の青年が親に許されず家を出るエピソードがありました。

一方『リトル・エッラ』ではトミー叔父さんとスティーブが同性カップルであることが特別視されることなく描かれていました。この映画の原作が子供向きの絵本なのを思い(原作も読みました)、性の多様性についての意識付けを小さな頃から行っていることに感心。

そういった点も含めてお子さんにも観ていただきたい映画です。

監督来日イベント決定

さて、最後になりましたが大切なお知らせ。

クリスティアン・ロー監督が来日舞台挨拶します!

しかも、4月7日のシネマート心斎橋では、ワタクシが無謀にも監督にインタビューします!!!

きゃー!!どうしよう!今からドキドキです!!もちろん、大阪だけでなく東京でも舞台挨拶がありますよ!!詳細は下記リンク先をご覧ください。

その他の公開詳細は下記リンク先をからどうぞ。
映画『リトル・エッラ』公式

『リトル・エッラ』
2022年/スウェーデン・ノルウェー/81分/日本語版字幕:高橋彩/字幕監修:速水望/原題:LILL-ZLATAN OCH MORBROR RARING
監督:クリスティアン・ロー 出演:アグネス・コリアンデル、シーモン・J・ベリエル、ティボール・ルーカス 他

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