2か月も前になりますが、6月の初めに友人の佐々木敬子さんがバルト三国を旅して食べた体験をまとめた『バルト三国のキッチンから』を出版されました。
バルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビア)の普通のご家庭や食に関する生産者を訪ね、取材し、伝統の料理を作ってもらい、食べて、まとめた話です。あまり知られていないバルト三国の食ばかりでなく、暮らしや歴史まで書いた厚みのある内容の本です。
バルト三国の人たちについて知ることも多く、語り掛けるような文章にグッと引き込まれます。このように取材された人たちが自宅や生産地に招き入れ、暮らしや経験について心を開いて語ってくれているのは、何よりも敬子さんの人柄がもたらすものでしょう。彼女にしか書けない本になっています。
もちろん、食文化研究者らしくレシピも充実。食べてみたい、作ってみたいレシピがいくつもあって、味を想像するだけでも心が躍ります。
本は発売されてすぐに買っていたのですが(その後行き違いで敬子さんから1冊頂いたので、それは興味のありそうな友人にプレゼントしました)気が付くと2か月も経っていました。こんなに本の紹介が遅くなったのは、何か一品作ってからにしようと思っていたからなのですが、ついつい日々の雑事に追われてしまいました。
そして真夏になったいま、やっぱり食べたいのは冷たい料理!という訳で、リトアニアの「シャルティバルシチェイ」という舌を噛みそうな冷たいビーツのスープを作りました。
ビーツはストックしている茹でビーツを使いました。レシピではみじん切りですが、写真を見ると細く切られているので(北欧の人がよくやる)チーズおろしで千切り。包丁を使うよりも早く、まな板が赤く染まってしまうこともなく、キッチンも汚れにくいです。さらに手が赤く染まらないようにビニール手袋をしました。どんなけビーツ怖いねんって感じですが。
本の指示通り、ケフィアヨーグルトの代わりに生クリームとヨーグルトを混ぜました。リトアニアではリンゴジュースに漬けたビーツを使うと書いてあったので、ほんの少しリンゴジュースを追加。たまたま冷蔵庫にあったからです。レシピには無かったのですが、塩とこしょう少々で味を調え、コンソメとレモン汁を少し加えました。
完成です。キンキンに冷やして食べると、具に入っているきゅうりの冷たくシャリシャリの食感と酸味の組み合わせがいい。まさに猛暑にピッタリのスープ。リトアニアよりも酷暑の日本で食べる方が美味しいんじゃないかしらね。
本を読むと、こんな風に食を訪ねる旅をしてみたいとの思いが募ってきます。実は敬子さん、まさにいまバルト三国の食を巡るツアーのアテンドのためバルト滞在中。参加した皆さんが羨ましいです。きっと思い出深い良い旅になることでしょう。
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本を読むと敬子さんの声で脳内再生されます。