HöganäsのかわいいシリーズとVDN555について

今年の夏の買い付けで久しぶりに、Höganäs(Hoganas/ホガナス)のこのシリーズを見つけました。ぽってりとしたレースのような装飾が素朴で可愛らしく、優しさを感じるデザイン。

素材はストーンウェア(炻器/せっき)。ストーンウェアとは陶器と磁器の中間の性質を持つ焼き物で、陶器よりも堅牢で、磁器よりも温かみがあります。

過去には色違い(青と白)が入荷しました。この写真をブログにアップしたのが2009年8月1日ですから、ほぼ8年前のこと。

この時は作者など詳細は分からなかったのですが、再入荷を機会に調べ直しました。そこそこ時間がかかりましたが判明したので、自分用の備忘録も兼ねて書きますね(またしても箸休め回に...)。
デザイナーはAnn Jansson(アン・ヤンソン/1945年- )。このシリーズは彼女の最初の食器シリーズで、青と白の組み合わせはJohanna(ヨハンナ)、茶と白の組み合わせはMatilda(マチルダ)と名付けられました。同じデザインでも色によって名前が違うんですね。つまり、2009年に入荷したのはJohanna、今回買い付けたのがMatildaとなります。
バックスタンプを見ると、ホガナスが1956年から67年まで使用していたロゴとほぼ同じです。 けれども、アン・ヤンソンのプロフィールを見ると学校を卒業したのが1969年。それからホガナスに採用されたとすると、いくら処女作とは言え、1970年代に入ってからの製品でしょう。

ボウルにはスウェーデンの品質保障マーク『VDN 555』が残っていました。

VDN 555とは、品質を表したマークで、1951年から73年まで使われていました。なので、製品は1973年以前のもの。色々合わせると、1970年代初頭の製造と思えます。良く見ると、VDNシールの下部にある、真ん中が塗りつぶされた日の丸のようなロゴは、1967年から76年に使用されたものですので、やっぱり70年代の製品ですね。
ちなみに『VDN(アルファベット)555』は、(アルファベット)が、B=ボーンチャイナ(benporslin)、F=陶器(flintgods)、P=磁器(fältspatporslin 注*)、S=ストーンウェア(stengods)の意味。このシリーズはVDNマークに『S555』とあるのでストーンウェアと分かりますが、それを確認するまでもなく、バックスタンプにバッチリSTONEWAREと書かれていますね。
【注*fältspatporslinは直訳すると長石なのですが、恐らく長石を主成分とする磁器のことでしょう。】
続く555は、最初の5=釉薬に貫入が発生しない、真ん中の5=あらゆる料理に使える(酸を含む酢などに耐性があるという事か?)、最後の5=75度で食洗器使用可、を表しています。
最後の数字がもしも、1=洗っている時にダメージが起こる恐れあり、3=45度で手洗い、の意味(食器で1なんてあるんでしょうかねえ?)。
このMatilda(マチルダ)シリーズは来月アップ予定です。
ミタ
VDNマークについて検索すると、2010年に書いた自分のブログがヒットしました。もちろん以前からマークについては知っていたのですが、ブログに書いていたとは覚えていませんでした。自分の記憶の無さが恐ろしい…。

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