特別な日のデミタスカップ

春のフィンランドでゴージャスなデミタスカップを2種類買いつけました。それぞれ別のディーラーさんから求めたものです。
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金をふんだんに使った、まるでビザンチン美術のような絢爛豪華さです。右の全身金色はGilda(ギルダ)。製造は1960年から1972年です。左はバックスタンプにMilla(ミッラ)。Millaには様々な色があるのですが、こちらはシンプルに白地に黒のラインと金色の対比を効かせた配色です。製造は1952年からで、1960年代に終了しています。
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デコレートデザインはアラビアで数多くの作品を作ったEsteri Tomula(エステリ・トムラ)です。フォルムはアラビア社でほとんど唯一の*アール・デコ風のデザイナーであるGreta-Lisa Jäderholm-Snellman(グレタ=リサ・ヤデルホルム=スネルマン/1894年-1973年)による、1926年のOCモデル。
*アールデコ(仏:Art Deco)
ヨーロッパおよびアメリカ(ニューヨーク)を中心に1910年代半ばから1930年代にかけて流行、発展した装飾の一傾向。原義は装飾美術。幾何学図形をモチーフにした記号的表現や、原色による対比表現などの特徴を持つが、その装飾の度合いや様式は多様である。 (引用:Wikipedia)

アラビアのビンテージデザインに興味のある方ならエステリ・トムラの名はご存じかと思いますが、グレタ=リサ・ヤデルホルム=スネルマンについてはあまり耳にしないかも知れません。なにせグレタがアラビアに所属していたのは1921年から37年。フクヤで主に扱っているミッドセンチュリーよりも、ずっと前のこと。
グレタは1912年、高校を卒業後パリの大学で学びます。フランス仕込みの自然なエレガントさを持ちながらも、キビキビとした性格で、1929年から37年まで美術大学で教鞭をとるほかに、アラビアに装飾部門を設立し、そこで美大の学生を雇うなど、大変精力的かつ熱心に後輩の育成に取り組みました。どうも、いささか厳しい先生だったようです。
また、優れたライターとしても知られ、イギリスの雑誌にフィンランドデザインについての記事を連載したり、フィンランドの雑誌にフランスのデザイン事情について記事を書く仕事もしていました。デザイン以外の部分では、ソビエト連邦がフィンランドに侵入した、1939年の冬戦争の時には、夫と共にスウェーデンとイギリスに人道的援助を求める活動に身を投じるといった面も持ち合わせていました。
グレタは陶磁器だけでなく、リーヒマキガラスやイッタラでもフリーランスとしてデザインを提供しています。またイラストレーターとしても活躍していました。このイラストは日本でいうモガでしょうか。
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こちらはイースターに贈られたようです。
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これらのカップは6月末か7月の最初にアップ予定です。特別な日にゴージャスなひと時をどうぞ。
ミタ

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