日曜日の朝、宿の主エリナさんが「今日はフィンランドは母の日で、母に会いに行くから実家近くの森と湖を案内するわ」と誘ってくれました。
案内してくれたのはヘルシンキ郡にあるサークスヤルヴィ(Sääksjärvi)湖です。
湖まではきちんと整備された森の入り口を入っていきます。
「ここは私の地元だから」とどんどん先に行くエリナさん。森からは絶え間なく美しい鳥のさえずりが響きます。
森を抜けると目の前に広がる大きな湖。この湖は川から水が流れて出来たのではなく、湧水で出来ているだとか。湧水の湖としてはフィンランド最大で、その大きさは約260エーカー。1エーカーは5400m2なので…えっと…まあ、とてつもなく大きいと言うことですね。
「これは湿地にしか生息していない植物で強い香りの白い花が咲くの」。植物の名前はフィンランド語で”Suoporsu”。調べてみると英語名は”Rhododendron tomentosum”といい、日本にも生息しているそうなのですが、日本名を見つけることができませんでした。ただ、どうもツツジの一種のようです。どんな香りがするのでしょうか。
「次は河に行きましょう」と車で森を抜けていきます。
途中「珍しい馬がいるの」馬場で車を止めてくれました。
「ノルウェーのフィヨルドの馬で、たてがみの中心は毛の色が濃くてストライプになっているのよ」。なんとも神秘的な模様です。
そして次に案内してくれたのは”Seitsemän veljeksen(7人兄弟)”という不思議な名前のハイキングコース。この時は分からなかったのですが、その後に雑談で「アレクシス・キヴィという作家がいて、彼の有名な作品に”七人兄弟”がある」と言っていたので、それにちなんでいるのでしょう。
どんどん歩いていくエリナさん。
足元には白いかわいらしい花が。「これはヴォッコ(Vuokko)でフィンランドではこの花を母の日に摘んでプレゼントするのよ」と。まさに母の日当日だったので、あちこちでヴォッコの花を手に歩く人を見ました。花を持ってこれからお母さんに会いに行くのでしょうね。
これはイラクサ(ネトル)。アンデルセンの童話「白鳥の王子」で魔法で白鳥に変えられた兄王子たちを救うため、妹の王女が墓地で摘んだイラクサで服を作るエピソードがあります。イラクサには刺があり、王女は痛みに耐えて手を傷だらけにしながら草を摘み、服を織ります。
イラクサには繊維があり、古くから織物に使われているのですが、私が子供のころに読んだ絵本の挿絵家はそれを知らなかったのでしょう。葉っぱをつなげた奇妙な服が描かれていて、子供心に随分と変なものだなあ、と思っていました。
閑話休題
「これは育ちすぎだけれど、早春の柔らかい若芽を使ってスープを作るの。それは春の味なのよ。それに栄養が満点!」とエリナさん。
やがてゴーゴーと音が聞こえてきてまもなく目の前に広がる広く流れの早い河!
エリナさんが「河の流れる音って癒されるでしょう?」とにっこりします。
所々に木製の橋が架かっていて、散歩やバーベキュー、釣りなど思い思いに過ごす人がいます。
こちらは犬の散歩をしている人たち。犬も楽しそうです。
エリナさんのおかげで新鮮な空気と瑞々しい緑、自然の奏でる音で買い付けの疲れが取れました。
そしてその後はアテネウム美術館で開催しているトーベ・ヤンソン展へ。そしてフェリーでスウェーデンに向かいました。
長くなったので続きはまた。
ミタ
イラクサの織物といえば、エリナさんは織物作家で宿泊した部屋には作品がぎゅーぎゅーに押し込まれています。どれも素敵なんです。
フィンランドでのご様子、
楽しく拝読させていただいております。
話題にされているキヴィの「7人の兄弟」は、
Fukuyaさんで取り扱っていらっしゃる
ミニプレートのモチーフにもなってますよ。
http://www.fuku-ya.jp/SHOP/AR-1402JH-74A.html
、
買い付けレポート、楽しみにしています。
>>あやさま
あのプレートはそうなんですね!何か分からず困っていたのです。教えてくださってありがとうございました。帰国したら説明を加えます!