南から北へ、春に渡来するツバメは、冬の終わりを告げる渡り鳥です。そのため、冬が厳しいヨーロッパの国々では明るい季節の訪れを象徴し、ひいては幸運や希望の印となっています。
また毎年帰ってくる習性から「無事に戻る」の願いを込めて航海の安全を祈るシンボルにもなっているそう。
写真はスウェーデンで買い付けてきたツバメの壁飾りたち。ロゴなどが無く、スウェーデン製かどうかは分かりませんが、実際に北欧の家庭で使われていたものです。
プレートはスウェーデン、グスタフスベリ(Gustavsberg)のSvedese。ツバメの飛ぶ姿を思わせるようなパターンが並んでいます。
デザインは1917年から49年までグスタフスベリでアートディレクターを務めていたWilhelm Kåge(ヴィルヘルム・コーゲ/1889年-1960年)。彼はグスタフスベリを代表するデザイナーであるスティグ・リンドベリの指導に当たった師匠でもあります。
上の写真は手元の資料のコピーです。写真が小さく分かりづらいのですが、1930年代にコーゲがデザインした右端の黄色のラインの中に黒のパターンのAlbionを、コーゲ引退後の1950年代にマイナーチェンジをしたのがSvedeseです。
ちなみにAlbionとは古語でグレートブリテン島(イギリス)。Svedeseとはイタリア語でスウェーデンとの意味だそう。デザインだけでなく、国も変わっていますが、その名のとおり、スウェーデンカラーの明るい青と黄色で時代に合った新しいイメージを作り出しています。
Svedeseだけでなく、同時代には同じくコーゲが1930年代にデザインしたものに新しいデコレーションをつけて再販売された、このMinetteシリーズもありました。
以前このシリーズについてブログを書いたので、よろしければ合わせてご覧ください。
→受け継がれる美
調べていないので良くは分かりませんが、コーゲが引退後に彼の過去の作品に新しいイメージを加えて甦らせた製品が他にもあるのかも知れません。
ところで、航海士の間ではツバメは無事な帰還だけでなく、水難で亡くなった時には魂を天国に運んでくれるとも信じられているそう。遺体が見つからないまま弔ってもらえず、天国に行けないかも知れないとの恐怖心が生んだ信仰でしょうか。
そして、魂を天国に運ぶだけでなく、古い魂を再び現世に運ぶ「甦り」も象徴しているとか。新しい命が芽吹く春にやって来ることからの連想かも知れません。
春にふさわしい新たな始まりを感じさせるツバメの飾りは今月中にサイトにアップする予定です。また、新たな命を吹き込まれた明るいイメージのSvedeseは下記リンク先からどうぞ。
→Gustavsberg Svedese ケーキプレート
ノルウェイ、スウェーデン、デンマークといった北欧諸国のツバメは中央アフリカと南アフリカから渡来するそうです。日本のツバメはタイ、マレーシア、フィリピン、台湾で越冬するとか。逆に南の国の人にとってはツバメは冬の象徴になるのかな?