アラビアSモデルについて色々と

こんにちは。
さて、今日は何について書こうかなあ、とストック棚を見ればアラビアのSモデルが随分と集まっていました。Sモデルについては今まで何度も書いたので、もう飽き飽きかも知れませんが、こんなに一度に集まっている事も珍しいので、記念写真的に一枚。

以前書いた内容とかなり重なるのですが、改めて書くと、Sモデルとは1961年に耐熱性のRuska(ルスカ)シリーズの為に写真のUlla Prokopé(ウッラ・プロコペ、1921年-68年)がデザインしたものです。

左手前にある茶色1色のが、そのSモデルの最初となったルスカです。ルスカは1999年までの約40年間生産されるアラビアで最も販売数の多いデザインとなり、30以上ものアイテムが作られました。 そして、そのSモデルを使った様々なデコレートのバリエーションが次々と作られました。
写真の中からご紹介すると、ルスカの後ろにある茶の花がデコレートされているのはRosmarin(ロスマリン)。製造期間は1961年から74年。右にある青い花はAnemone(アネモネ)。製造期間は1961年から76年。この二つはプロコペ自身による絵付けデザインです。

右後ろの2個重ねた花柄は、Hilkka-Liisa Ahola (ヒルッカ=リーサ・アホラ)によるデコレート。特にシリーズ名は無く、製造年代も1970年代と曖昧ですが、味わいのある手彩色が人気のシリーズです。
写真では影になっていて分りづらいのですが、一番奥の2個重なっている縦じまは、Kosmos(コスモス)。デコレートデザインはGunvor Olin-Grönqvist (グンヴォル・ウリン=グラングヴィスト)。下になっているのは茶色で製造期間が1964年から76年。上にあるのは青い色のコスモスで製造期間は1966年。青は限定的に作られたようですが、フィンランドのディーラーさんに尋ねても、作られた理由は分らないとの事でした。他のシリーズと違って、コスモスだけはプロコペの存命中に作られていますね。
ちなみにアネモネは80年代に限定で再生産されています。オリジナル品は手書きのロゴですが、再生産品にはこのプリントロゴが付いているので簡単に判断できます。

ok_2712009101224Logo_Arabia_1982_v.jpg

実は以前このロゴのアネモネが入荷したときに「理由が分らない」と書いたらお客さまから再生産があったことを教えていただきました。その時に一緒に送ってくださったエピソードが素敵でフクヤ通信でご紹介したところ、その後も折に触れ読んでくださった方から「いい話でしたね」と感想をいただきました。ご興味があれば是非ご覧下さい。
アネモネとの再会

右の奥にあるベージュ地に茶の花柄はRuija(ルイヤ)。Raija Uosikkinen(ライヤ・ウオシッキネン)によるデザインで、プロコペが亡くなった後の1975年から81年の生産です。
左端の小花柄はFlora(フローラ)。デコレートデザインはEsteri Tomula (エステリ・トムラ)で、製造期間は1979年から81年。
先ほどアネモネの再生産について書きましたが、Flora(フローラ)も再生産されています。詳細は分からないのですが、この小さめカップはそうではないでしょうか。

というのも、フォルムがSモデルでなく、Göran Bäck(イエラン・ベック)によるGBモデルだからです。GBモデルは1968年から1991年まで作られています。Sモデルのフローラと時期が重なっていますが、生産中ではなく、製造終了後に何らかのきっかけで作られた気がします。調べても分らなかったのですが、どなたか詳しい事をご存知ないかしら。

AR-FL0-11B.jpg

さて、先ほど触れた手書きロゴですが、アラビアの社名と共にデザイナーと絵付師のイニシャルが書かれているものが多いです。

140117-2.jpg

例えば上のアネモネの「UP/MA」のUPとはデザイナーであるUlla Prokopé、MAはこのカップにデコレートを施した絵付師のイニシャルです。

下の緑のカップのHLAはもちろんHilkka-Liisa Aholaのことで、横に書かれたMRが絵付師のイニシャル。アラビアの手彩色部門は2003年に閉鎖され、同時にこのような手彩色の製品は作られなくなりました。当時を知っているアラビア日本代理店であるスキャンデックスの方と、当店のヴィンテージを前に立ち話をした時に「おばちゃんたちが絵付していたんだよね。懐かしいなあ」とおっしゃっていました。手彩色は本当に魅力的で、現在のアラビアの製品にも手描き風のパターンがプリントされたシリーズがありますが、手に取ると「やっぱり違うなあ」と買うまでに至らないで戻してしまっています。
と、まあSモデルについて頭に浮かんだことをダラダラと書きました。写真に写っているほとんどはこれからのアップですので、気になるものがあれば、なんとなく覚えていだだけると嬉しいです。

ミタ

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