第5回「北欧を知ろう」講座

スウェーデンのカフェ

こんにちは。
去る2月20日は、スウェーデンをこよなく愛する社団法人スウェーデン社会研究所 所長の須永昌博氏による、「スウェーデンの子育て支援」をテーマにした、第4回「北欧を知ろう」講座でした。
須永氏によると、とにもかくにも、まず、スウェーデン社会の「核」とは、全ての人が法の下で「平等」であり「人権」を持つという点を肝に銘じなければいけないそうです。
例えば、現スウェーデン国王のカール16世グスタフも例外ではなく、彼もまた、国民番号を持ち、納税の義務があり、選挙権を持っているのだそう。もっとも、収入のない国王は税金を納めることはなく、また選挙に行かれることはないそうですが、とにかく、法律上ではそうなっている。
そして、この二つの核を長年に渡って、目指し、実現の方法を模索し、実践しているのがスウェーデンと言う国なのだそうです。
例えば、その実現のための法律は「人は生まれながらに障害者である。たまたま健全な人がいるだけ」であり、そのたまたま健全な人のためを主体にした社会は平等と人権に反する、との発想で作られます。
障害者とは、日常動作が出来ない人のことで、つまり心身障害だけでなく、幼児、病人、怪我人、妊婦、高齢者、そしてもしかしたらスウェーデン語の出来ない外国人(移民)も含まれるのだとか。
さて、今回の講座は子供に主眼を置いた内容でしたので、それでは、子供の人権と平等のために何が行われているかをお話してくださいました。
子供は「生まれたときから社会のもの(親のものではない)」であり、「大人と同じ権利と発言権を持つ」のだと考えられているそうです。それは”国連児童憲章”と”子供オンブズマン”によって守られているのだとか。
国連児童憲章とは1989年に国連によって「児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と決められた条約だそうですが、日本では
「児童の権利ばかりが強調されると子供が権利ばかりを主張して親や教師などの大人の意見に従わなくなる」
「日本伝統の親子関係(子は親に必ず従う)を破壊する」
と反対する傾向があり、批准にあたり、一部留保などがされているとか。
(参照:Wikipedia)
日本のニュースで、親による子供の虐待を「躾です」と説明し、見逃されていたために手遅れになった、という悲しい話を耳にすることがあります。子供の人権よりも子供を大人に従わせることが、本当に”伝統の親子関係”なのでしょうか。
一方スウェーデンでは、もともと国連で決まった事を一生懸命に実施しようとする傾向があり、この条約も実に真摯に実行しているのだとか。
子供オンブズマンに任命された人は18歳以下の子供の利益と管理を確保するのが仕事です。全国の学校の子供たちからアンケートをとったり、面談をして、彼らの権利や利益が迫害されていないか調査するそう。また、学校でも、常に児童に教えるのが「大人がおかしい事をしていたら、それを訂正してもいいのよ」と発言の大切さを教えることなのだそうです。
この講座を拝聴して感じたのは、日本では子供は「何も出来ない弱い存在であり、大人の庇護の元にいなければいけない」と思われているのに対して、スウェーデンでは「権利も意見も持っているけれどその活用の方法を知らないので、大人が発揮方法を教えなければいけない」と考えているのかも知れないと思いました。
その感想を須永ご夫妻(奥様もいらっしゃっていました)に尋ねると、「そうですね」とおっしゃって、それにまつわる様々な実例を教えていただきました。
スウェーデンの屋台骨「平等」「人権」は実は長い年月をかけて、子供のときからの教育で作り上げているものだ、と分かりました。今回は国が一つの確固たる理念を掲げ、一丸となって取り組むことの大切さを感じた2時間でした。
さて、今週末は最後のお楽しみ。デンマークのティーパーティーです。講義をしてくださるキム・ペーダセン氏は、デンマーク大使館のシェフと相談をしながら準備をしてくださっているとのこと。また、エコのため、コーヒーを飲むカップは持参とか。
ふふ。楽しくなりそうです。
ミタ
..
この文は、月曜日に書いたのですが、そのあと、ブログのサーバーがメンテナンスに入り、延長に延長でした。
やれやれ。
ところで、須永ご夫妻に世間話で「スウェーデン料理教室の先生、心当たりはないですか?」と尋ねたところ、日本IKEAの社長の奥様の名前が上がりました。もし、実現すれば面白いですね。
奥様はケータリングの仕事をされているとのことでしたから、IKEAのミートボール、なんてことは無いと思いますよ。

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第5回「北欧を知ろう」講座」への2件のフィードバック

  1. いろいろ興味深いですね、他国を知ることも自国を振り返ることも。
    「子供」の供という漢字は、お供するとか主従の関係の従を意味するということで、最近では公けには「子ども」と表記するらしいですよ。少しでも意識を変えていこうということかもしれませんね。そういえば、「子どもの権利条約」「子ども手当」ですね。
    ところで、写真はスウェーデンの街角?KAFFEはたぶんわかるけど、DROMMARって?
    (復旧後すぐに書き込みましたが届かなかったみたいですね。)

  2. >>k7さま
    こんにちは。復旧後、すっかり気持ちが萎えてブログを書いていませんでした。このままでは、明日の最終回に突入ですね・・・(間に何か挟もうかな)
    写真は、スウェーデンのカフェです。青の色使いが素敵ですよね♪
    DROMMARの意味は、知らない、とは言えないので調べました!「夢(dreams)」です。
    知らないといえば、”供”にそういう意味があるとは知りませんでした!
    そういえば、チラシを作製したときにひらがなにするように言われましたが、そういう意味だったのですね・・・!勉強になりました。ありがとうございます!

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