正しい答えを巡る

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おはようございます。今日から3連休ですね。
東京はとてもお天気がいいので、どこかにお出かけになる方も多いのではないですか?中にはお呼ばれに行く方もいらっしゃるのではないかと思います。

実家にはワゴンのミニバーがありました。一見四角い80cmくらいの高さの木のワゴンなのですが、側面がパカーッと開くと、中が棚になっていて、お酒の瓶やグラスが並んでいるのです。
ちょっと分かりづらいので絵を描いてみましたが・・・分かるかなあ?
(今、改めてみると、この絵は変ですね・・・ま、雰囲気、雰囲気・・・。)

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私が小さな頃は週末に父の大学や勤め先の後輩が集まる、なんて事が良くあったので、そんなときに活躍していたのかもしれませんが、今となっては単なる花台です。
あまり覚えていないのですが、人が集まると、お酒と一緒にアイスペールも登場していた気がします。まだまだウィスキーがとても高価だった時代です。若い人たちにとってはこんな機会でもなければ、簡単には飲めなかったのでしょうね。
さて、そんな古い時代のガラスのアイスペールがデンマークから入荷しました。このアイスペールが最初にデザインされたのは、1937年と言われていますが、こちらは底に1962と刻まれているので、1962年の製造でしょう。長く作られていたのですね。
メーカーは、王室御用達としても知られるデンマークのガラスメーカーHolmegaard(ホルムガード/ホルメゴー)です。
このアイスペールを仕入れた先のアンティークディーラーさんによると、デザイナーはJacob E. Bang(ヤコブ・E・バン)という話でした。
実はこのアイスペールはフクヤでは初めてですが、以前の仕事で取り扱ったことがあります。そのとき、デザイナーはPer Lutkenと聞かされていました。
そこで、ディーラーさんに確認すると「かなり信頼性のあるデンマークのアンティーク資料にJacob E. Bangとある」と資料と共に返信が。
自分なりに調べてみると、デンマークですらJacob Bang説とPer Lutken説がありました。それでも、改めて製品を見てみると、Per Lutkenはガラスの塊で作った流れるようなフォルムが特徴なのですが、どうも、これは傾向が違うように感じます。
さらに、底には、Per Lutkenの作品にある「PL」のサインがない。どうも、Per Lutken作ではないかも?と思いつつ、イギリスの良く知られているアンティーク専門誌のサイトを見ると、デンマークのガラス製品として紹介されていました。
そこには、明確に”Designed for Holmegaard by Jacob Bang in 1937″と。なるほど、Jacob Bang作で間違いがなさそうです。
このような伝承違いというのは、ビンテージのお品には良くあることです。間違えないのが一番なのですが、どうしてもその時点で入手できる資料が少なく検証が出来ないときも。出来るだけ新しい、原語、あるいは英語の資料を参考にするように、加えて資料は数点を読み裏づけを取っているのですが・・・その資料が実はネタ元が同じで「赤信号みんなで渡れば・・」状態の恐れもあります。やれやれ。
それだけでなく、どうもぼーとした性格で、自分で書いた商品説明に単純なミスを後になって発見することも。先日は以前入荷したお品のページを眺めていたら、製造年を「1950年代」と書かなければいけないところを「1950年」、更に悪いことに、作者名のカタカナ表記が間違っていました(アルファベットは正しかった)。これは自分が犯してしまった、うっかりミス。
で、申し訳ないことに、とある日本のショップサイトで全く同じ間違いをしているところを発見してしまいました。
ごめんなさい、ごめんなさい。きっと、私のサイトを参考になさったのですね。なんだか、胸がチクチク痛みます。
だって、私はこそっと知らん顔して、直しちゃったんですもの。
ミタ

.教えてあげた方がいいのでしょうか。かえって先方が恥ずかしい思いをしてしまわないでしょうか?ああ、どうか自分で気が付いてくれますように・・。

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正しい答えを巡る」への8件のフィードバック

  1. 娘が小学生の頃「雰囲気」という言葉を「フインキ」と言っていたそうです。周りのみんなも。漢字を習って「フンイキ」なんやと気がついたそうですが、今でも「フインキ」の方が「雰囲気」らしいそうです。そして、最近テレビで若い人の間では「フインキ」という人が多いことを知りました。・・・テーマとちょっとずれていますが、なんとなく思い出した話です。

  2. >>k7さま
    あ!私も!ずっと漢字を習うまでは「フインキ」と思っていました!
    話は違いますが「軟膏」という意味の英語「オイントメント」を綴りを見るまで、ずっと「オイットメント」と思っていました。でも、これでも海外で通じたんですよね・・・フインキで。

  3. 私も右(上?)に同じです。
    後、10匹ジッピキをジュッピキとか・・・
    秋葉原アキハバラも本当はアキバハラだそうです。
    これは数年前に知りました。
    ミタ様。
    そのショップサイトはフクヤさんを参考になさったとは限らないので、そっとしておくのが無難かと(^_^;)

  4. >>★ツカッチ★さま
    おはようございます。
    アキバハラが正しいのですか!漢字の読み方って難しい・・・。そういえば、ヤマノテセンとヤマテセンも私には難関です。関西にはヤマテセンがあるのですよねー。
    間違いはそっと寝かせておきます。でも、実はとても好きなショップなので(だから気が付いたのですが)、もしお会いする機会があれば(あるのか?)そっと耳打ちします♪

  5. 「新しい」も元々は「アラタシイ」がいつの間にか「アタラシイ」に変わってしまったのだとか。(「気分も新に」―アラタにとは言うけどアタラにとは言わないですね。)
    「アタラシイ」が普遍になったことを思えば
    「雰囲気」の正式読み仮名が「フインキ」になる日は近いのかもしれない・・・。

  6. >>k7さま
    ああ!ほんとう!アラタにと言いますよね。全く気にしたことが無かったです。なるほどー。
    言葉は変化するものだから、いつかフンイキになるかもしれませんね。

  7. はじめまして。
    こちらの記事、まさに目から鱗でした。
    私もてっきりPer Lutkenのデザインだと思っており、自分のブログでもそう紹介していました。
    さっそく修正をしたところです。
    おかげで間違いに気がつきました。
    ありがとうございました。

  8. >>Mami & Tetsuさま
    初めまして!Mami & Tetsuさまの素晴らしいコレクションを雑誌で拝見して存じ上げていました。ですので、コメントを頂いて、あらあらと、ミーハーに盛り上がってしまいました。
    そうですね、伝承違いというのは良くありますね。以前取り扱ったものでも、再入荷したときは改めて調べなおすのですが、そのときに間違いを発見することもしばしばあります。情報そのものもどんどん入手しやすくなっているので、私のような仕事では、常に調べることは欠かせません。
    でも、時にはMami & Tetsuさまの書かれていらっしゃるように、自分の勘(違和感?)が正しい答えを探すきっかけになることもあります!
    また、新しいコレクションを見せていただくのを楽しみにしていますね!

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