おはようございます。今日は3連休の最終日ですね。
さて、写真の左端にある、不思議な黒と白の物体は、アラビア製のソルト&ペッパーボトルです。
シリーズ名が無いため、Mモデルとモデル名で呼んでいます。デザインは、フィンランドの巨匠カイ・フランク(Kaj Franck)。製造期間は1953年から1968年です。
実は今日取り上げたかったのは、このソルト&ペッパーボトルではなく、こちらの飾り皿です。
正確な製造年は分かりませんが、バックスタンプからすると1950年代から1960年代半ば。フォルムデザインは同じくカイ・フランクで、デコレートデザインはライヤ・ウオシッキネン(Raija Uosikkinen)です。
バックスタンプにはスウェーデン語で「MED TACK FÖR BESÖKET(ご来場ありがとうございます)」と書かれているので、工場のみで手に入る限定商品だったのかもしれません。ちなみに以前入荷した同じプレートにはフィンランド語で「KIITTÄEN KÄYNNISTÄ(ご来場ありがとうございます)」とあったので、スウェーデン語版とフィンランド語版が作られていたようです。
場面は三つに分かれていて、一番上はアラビアの工場(左の建物のみ現存)、真ん中は工場で働く人たち。一番下はアラビアの製品が並んでいます。
一番下には実際に当時現役で作られていた製品が描かれています。
それでは、手持ちの資料を頼りに少し紐解いて見ます。
これが下の部分。
まず、カイ・フランクの名作Kilta(キルタ)シリーズのポット、カップ&ソーサー、ミルク入れ(ビネガーボトル)があります。
キルタは後にティーマ/テーマと名前を変え現在も作られているアラビアの定番。キルタとしての製造期間は1953年から1975年です。
Mモデルのソルト&ペッパーを挟んで描かれているジャムジャーはこれでしょうか?
Ulla Procopé (ウッラ・プロコペ)によるALモデル。製造期間は1954年から1967年。
同じくウッラ・プロコペによるGAモデルのポット。製造期間は1955年から1972年。
その上にある、コロンとした形の調味料入れセットは、これでしょう。
Kaarina Aho (カーリナ・アホ)のKAモデル。製造期間は1953年から1968年。
同じページの下にはMモデルのセット写真があります。
大きな鷹の置物は、これです。Ulf Tikkanen(ウルフ・ティッカネン)による鷹の像。年代ははっきりとはしませんが、同じく1950年代から60年代のものでしょう。
その右下にあるのは、このLinnea(リンネア)シリーズではないでしょうか。
フォルムデザインはカイ・フランク。デコレートデザインはライヤ・ウオシッキネン本人で、製造期間は1953年から1964年。
ストライプのカップ&ソーサーは沢山あるので特定は難しいのですが、ライヤ・ウオシッキネンに敬意を表して、TMモデルのこちらを。
カイ・フランクのフォルムにライヤ・ウオシッキネンがデコレートした1950年代の製品です。
大きなメンドリはゆで卵の保温用カバーです。手元の資料にはこのデコレートしかなかったのですが、市松模様の物も実際にあります。
こちらがそれ。写真はフィンランドのニュースサイトdemari.fiからお借りしました。
デザインはカーリナ・アホ(Kaarina Aho)。1950年代の製品です。
その右にあるのはライスの名で知られている透かし模様の入ったシリーズ。デザインはFriedl Holzer-Kjellbergで、1950年から1974年までの製造でした。
最後に一番右端にある大きなカップは、もしやこれでしょうか?
1930年代から40年代ごろの古い洗面シリーズで、様々なデコレーションの製品が作られています。
映画「王子と乞食」で、王子となった乞食が顔を洗う時に、大きな陶器の洗面器に使用人がお湯をジャグから注ぎ、乞食が驚くシーンがありました。やたらに印象的で、以来ヨーロッパのお城見学で寝室にこのセットを見つけるたびに思い出しています。
というわけで、この写真の左の小さなものは歯ブラシ立てと石鹸入れ。真ん中の大きなボウルとジャグは洗面セット。右端の大きなカップがプレートに描かれているものではないかと思うのですが・・・。
実は、これオマルなんです。
今でも現役で使われているかどうかは不明ですが、11月の買い付けで立ち寄ったスーパーマーケットで、トイレットペーパーのパッケージに見つけました。北欧では一般的なのでしょうか。
子どもが使っていると可愛いですがね…。
ところで、2013年の今年はアラビア140周年とのことで、このような記念プレートが販売されています。
過去140年のアラビアの製品から発想し、テキスタイルデザイナーのJohanna Kuneliusが新たにデザインを起こしました。一つ一つにはアラビア工場で働いた従業員の名前が付けられています。
それぞれのプレートの元になったデザインを探すのも楽しみの一つのようで、既にフィンランドのファンの間ではオリジナル探しが盛り上がっているようです。
140周年シリーズの詳細は下記リンク先からご覧下さい。
→Iittala
皆さんもオリジナルを見つけ出して、どのようにアレンジされているのか比べて楽しんでみませんか?
ミタ
連休らしく、小ネタをと思ったら、ものすごく時間がかかってしまいました。