ロールストランド250周年モデルシルヴィア

140211-1.jpg

スウェーデンのRörstrand(ロールストランド)は1726年創業。ヨーロッパにおいては、2番目に古い現存している陶磁器メーカーです。ちなみに、一番古いのはドイツのマイセンで、創業は1710年。
1976年に創業250周年を迎えたロールストランドは、それを記念してエレガントなスミレの花をあしらったSylvia(シルヴィア)シリーズを作りました。

シリーズ名にSylviaの名前がなぜ選ばれたのかについてを記載する資料は見つからなかったのですが、スウェーデンのアンティークショップで「1976年は国王(カール16世グスタフ)がシルヴィア王妃と結婚した年だから、それにちなんだんじゃないかな」と話を聞きました。

2285.jpg

ところで、1976年にシルヴィア王妃が挙式で身に着けていた冠は、2010年に娘のヴィクトリア王女が挙式で付けていました。
ヴィクトリア王女が身分の差という障害を乗り越えダニエル氏と結ばれたのは日本のテレビ番組でも特集されていましたから、ご存知の方も多いと思います。

20130324163202.jpg

でも、実は彼女の両親である国王夫妻も結婚までたどり着くのが大変だったのです。それについては2010年に書きましたので、よろしければ合わせてご覧下さい。
スウェーデンがお祝いに沸いた日

閑話休題。

創立250周年を迎え、ロイヤルウェディングも予定されているし、ここはひとつお祝い気分が盛り上がるような良いものを作ろうと、ロールストランドも力が入ったはずです。
フォルムデザイナーに選ばれたのは、ピクニックやモナミのシリーズで大変なヒットを飛ばしたマリアンヌ・ウエストマン(Marianne Westman)。デコレートデザイナーは、抒情的でロマンチックな作品を作り戦後の荒廃した気持ちに夢を与えたシルヴィア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchoviu)。どちらも当代きっての女性デザイナーです。

140211-2.jpg

そして、ウエストマンの均衡のとれた女性らしいふっくらとしたフォルムに、レウショヴィウスのエレガントでロマンチックなデコレートをされた、シルヴィアシリーズが生まれました。

シルヴィアの3年前、1973年に作られたこの隣国フィンランドのアラビア100周年モデルと比べれば、同時期とは思えないイメージの違いに驚かれるかもしれません。

140211-3.jpg

ロールストランドはエレガントでクラシックな雰囲気を得意としています。そういった意味ではシルヴィアは正にロールストランドらしいデザインと言えるでしょう。

ところで、ロールストランドは1971年に社内デザイナーを抱えない、との方針でデザイナーを含んだ従業員の大量解雇を行い、マリアンヌ・ウエストマンもシルヴィア・レウショヴィウスも解雇されています。
以降1982年にフィンランドのWärtsilä社に買収されるまでデザイン的に目を引くようなものはあまり生まれていません。実際ロールストランドでも、後にこの期間のことを振り返り「失われた10年(förlorat årtionde)」と呼んでいる程です。

ロールストランド250周年の1976年当時、ウエストマンはガラスメーカーのSkrufで職を得ていました。レウショヴィウスはフリーランスのデザイナーとしてロールストランドと契約して仕事をしていました。
シルヴィア発売後の二人は別々の道を歩みます。ウエストマンは翌年の1977年にSkrufを辞めフリーランスデザイナーになりました。80代となっている現在も新作を作るなど活躍しています。一方レウショヴィウスはシルヴィアが世に出た1976年に、デザイナーを引退。かねてよりの夢であった画家として2003年に88歳で亡くなるまで過ごしたということです。
シルヴィアシリーズは1976年から1982年まで作られました。日本でも取扱いがあったらしく、お店の前を通りかかった年配の女性が「シルヴィアが目に入ったので」と入っていらっしゃり「懐かしいわ。友達のお子さんたちが結婚した時は必ずシルヴィアのティーカップを贈っていたのよ」とお話してくださいました。

偶然ですが、ロイヤルウエディングにもまつわっているシルヴィアは、確かに結婚のお祝いにふさわしいですね。

ミタ

シルヴィアシリーズは今週アップ予定です。

【この記事をシェア】

コメントを残す

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る