アラビア芸術部門で生まれた手彩色のあたたかなティーカップ

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先日のイベント「北欧ぷちとりっぷ」でシナモンロールを作ってくださった横浜のベーカリー薫々堂(くんくんどう)さんから、ドイツのクリスマス菓子シュトーレンの差し入れを頂きました。ソーサーに乗っているのが、そのシュトーレンです。
さて、今日はフィンランド、アラビアの手彩色ティーカップのご紹介です。こちらは特にシリーズ名は無い様でフクヤでは便宜的に「黄色の花」と名づけました。
Arabia アトリエ製 ティーカップ (黄色の花)
イベントでも少しご紹介しましたが、1930年代に”100%アーティストの自由な製作”を掲げてアラビアで「芸術部門(アートデパートメント)」が発足しました。所属アーティストは量産品の義務は求められていないのですが、この部門で開発された素材や技術が量産品に貢献する事もしばしばあるとか。
このカップもその芸術部門から生まれた製品で、ふっくらとしたフォルムはFaenza(ファエンツァ)シリーズなどで知られるPeter Winqust(ペテル・ウィンクヴィスト)。デコレートデザインは、バックスタンプに「RU」のイニシャルがあるので、可愛らしいデザインで人気のRaija Uosikkinen(ライヤ・ウオシッキネン)でしょう。
先ほどシリーズ名が分らない、と書きましたが、資料を幾つか見てもこのカップが見つからず、そのため製造年など詳細も分りませんでした。ただ、このフォルムデザインがされたのが1970年、そしてウオシッキネンがアラビアに在籍していたのが1986年までなので、その間の製造と思われます。
温かなフォルムが柔らかな筆で付けられた滲んだような彩色に良く合っています。この作品はソーサーの縁にもリズミカルな植物パターンが描かれていて、テーブルの上で真上から見ても目に楽しく、手の凝ったものになっています。手彩色の持つあたたかさは独特のものですね。
ところが手彩色部門は、恐らくコストの問題でしょう、2000年代初めに閉鎖されたため、このような製品は作られなくなりました。そのため現在作られている製品は全てプリントです。アラビアに関して言えば、手彩色の製品は、もうビンテージでしか見つけられなくなっています。
ところで芸術部門と言えば、2013年12月7日から2014年1月13日まで福岡の「三菱地所アルティアム」で、現在所属しているアラビア芸術部門の8人の作品を一同に集めた展覧会が開催されます。実はこの展覧会にほんのちょっとだけ、お手伝いさせていただきました。

ARABIA ART DEPARTMENTのアーティスト8名
©Arabia Art Department Society, photographer: Chikako Harada
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後列左からHelja Liukko-Sundstrom (ヘリヤ・リウッコ・スンストロン)、Kati Tuominen-Niittyla (カティ・トゥオミネン・ニーットゥラ) 、Pekka Paikkari (ペッカ・パイカリ)、Kristina Riska (クリスティーナ・リスカ)、Heikki Orvola (ヘイッキ・オルボラ)、Heini Riitahuhta (ヘイニ・リータフフタ) 前列左からKim Simonsson (キム・シモンソン)、Fujiwo Ishimoto (石本藤雄)

この8名の合同作品展は日本初で、会場では作品だけでなくインタビュー映像も流されるとか。大変に面白そうな企画なのですが、他県への巡回は無く、福岡で終わる可能性があるのでお近くの方、あるいは期間中に九州方面に行かれる方には是非足を運んで欲しいです。詳細については下記リンク先からどうぞ。
三菱地所アルティアム

ミタ

付け加えると、最近のアラビア製品は海外工場で作ってることが多くなり、もしフィンランド製にこだわるなら、これもビンテージになりましたね。

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