こんにちは、昨日アップした新着に含まれていた、ガラス製のヴァイキング人形、同じフォルムをした陶器製を見たことがある、あるいは持っている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
たまたま今回の買付では、その陶器製にも出会い、仕入れてきました。ガラスがスウェーデンのガラスメーカー製に対して、この陶器のメーカーは同じスウェーデンのUpsala Ekeby(ウプサラ・エケビィ)です。
1960年代初めの作品で、当時大変な人気があったのか、この小さなもの以外にも大小さまざまなサイズが作られ、更に前出のガラス以外にもメタル製も作られたようです。
いかにもスウェーデンらしいモチーフですが、デザイナーはフィンランド人のTaisto Kaasinen(タイスト・カーシネン)。カーシネンは1918年生まれ、1947年から52年までフィンランドのアラビアに所属した後、スウェーデンのウプサラ・エケビィに移り、様々なウォールプレートや装飾品を作りました。中でも一番有名なのが、このヴァイキング人形シリーズ。
1962年にアラビアに戻り、アート部門内に用意された彼のスタジオで、自由な作品を作りながら1974年まで所属。亡くなったのは1980年です。
そもそもスウェーデンではヴァイキングは人気のモチーフですが、彼の作品が好かれたのは、この顔つきではないでしょうか。日本人からすると埴輪を連想するような無表情は、ニュートラルで押し付けがましさがありません。
子どもの頃を思い出せば、はっきりとした感情を連想させる表情の人形よりも、無表情な方が遊びやすかったものです。きっと、その時その時の感情を移入する事が出来たからでしょう。
カーシネンのヴァイキングも見る時によって面白くも、悲しげにも、楽しそうにも見え、無表情なのにかえって人間臭さを感じます。
さて、カーシネン本人ですが、色々と調べたのですが、これといったエピソードが出てきません。
これは1962年にアラビアに戻ってからの作品です。ウプサラ・エケビィ時代と同じく陶板レリーフを製作しています。
そしてこちらは置き物たち。大変個性的で、それでいながらニュートラルな作風は、今年のアラビアの新作といわれても分らない。
カイ・フランクの作品もそうですが、何でもない作品は時代性を超えるのですが、そのなんでもない作品を作るのが一番難しいのですよね。
こんな人ですから何か面白い話が出てきそうなのに、当時の記録が少ないのか、私の調べ方が悪いのか、どうも見つけることが出来ませんでした。いつかまた改めて書くかもしれません。
さて、話は変わりますが、長い付き合いの現地ショップオーナーさんはカーシネンのデザインした写真のシマウマを所有しています。価格を聞くととても高いので、ああ、売る気がないんだな、と。
実は彼は他にもアラビアの希少な個人コレクションを店に並べ、同じように比較的高い価格を付けています。
「売る気がないならどうしてお店に置くの?」「それは、さっきのヨウコみたいに聞く人がいるからさ。で、値段をいうと、”高くて買えない、でもいい物ですね”って言うだろ?それを聞くのがなんともいい気分なんだ」
・・・・自慢したいだけか。
「で、もしその値段で売れれば、それもいいじゃない?」
・・・・確かに。
まあ、そんな人間臭い話って大好きなんですよね。
ミタ
ガラスは既にアップ済みですが、陶器の方はそのうちアップします。