おはようございます。
昨日、無事フィンランドより戻ってまいりました。
今回は、プライベートも兼ねて前半はラップランドに行ってまいりました。
ここは北極圏のLeviという小さな町で、もうすぐ一日中日の昇らない本格的な冬がやってきます。とはいえ私からすれば、既に真冬の様子。雪が積もり、気温はマイナス10度です。
11月の今でも、明るくなるのは午前9時半ごろ、午後の3時半には日の入りですから、お昼を過ぎるともう暗くなり始めます。
さて、そんな冬のラップランドの楽しみといえば、オーロラとウィンタースポーツ。今回特に私が楽しみにしていたのは・・・
犬ぞりです!
犬がかわいそう、という風にも思えますが、聞くところによると犬に嫌なことを無理強いすることは出来ないそうで、この犬たちもそりを引くのが楽しくてたまらないのだとか。
この通り、犬たちはそりに繋がれた途端に早く走り出したくて、興奮のるつぼ状態です。
まずは、私たちの犬にご挨拶。犬たちは良く慣れていて、触っても大丈夫です。
手を出した途端にじゃれ付いてきて、たちまち犬まみれになってしまいました。
私たちのそりのリーダーは後方の黒いオス犬で、年齢は11歳!人間でいえばかなりの高齢。ものすごいスタミナです。
このファームには約100頭の犬がいて、中には雑種もいるそうですが、主な種類はハスキーやマラミュート。この種類は頭のよさはもちろん、スタミナが有るのがポイントとのことでした。
ちなみに100頭もの名前を覚えているのか、ファームのオーナーのマリアさんに尋ねると、「もちろん!犬小屋の上に名前が書いてあるからね」。
ジョークですよね・・・。
犬ぞりは、なんと自分たちで操作します。これは、もう期待以上の楽しみ。道は犬が知っているので、私たちのすることといえば、ただただブレーキを踏んだり離したりするだけ。
念のためマリアさんに、もしそりから落ちたらどうなるんですか、と尋ねると「犬は無視してどんどん行っちゃうわね。だから歩いて帰ってきてね。すっごく遠いから大変だけど、頑張って。」
ジョークですよね・・・。
「あはは。大丈夫、スノーモービルで横についているから。」
さて、大興奮でなきわめいていた犬たちは、放たれた途端に待ってましたとばかりに走り出しました。前方のそりとの距離は15m以上に保たなければいけないのですが、私たちの犬は元気いっぱいでたちまち距離を詰めてしまいます。
そこでブレーキを踏んで調整すると、一頭、二頭と犬が振り返って「なんだよー!走らせろよー」とでも言いたげに、抗議の目で睨んできます。さらにそりを止めていると、我慢できなくなって今度はワンワン吼えながら、ぐいぐいとそりを引こうとします。もう、やる気全開。
それにしても、そりに乗りながら見え去る雪の森の美しいこと!はるか向こうを眺めると、低い低い太陽が雪空を暖かい光で彩り、グレーとオレンジの混ざった複雑な空の色が前方に広がっています。
すっかり葉の落ちた白樺の木は、枝が凍りつきキラキラと僅かな光を反射しています。反対にいまだ青々と葉を茂らせるモミの木はすっかり雪に覆われ、下から覗くほとんど黒に見える濃い緑と、真っ白な雪のコントラストが見事です。
目を落として正面を見ると、今度はそりを引きながら、ふりふりしている犬たちのお尻が和ませてくれます。(動物や鳥のお尻って可愛いですよね!)
そうして、ラップランドの美しい光景を楽しみながら1時間ほど森を滑りぬけた後は、小屋での温かいコーヒーや紅茶とジンジャービスケット、暖炉の火で自分で焼くマッカラ(フィンランドソーセージ)と素敵なおもてなしが待っていました。
ところで、ここのファームはもちろん犬ぞり競技に毎年参加するそうで、競技の中にはキャンプしながら2日半かけて数千キロ走る過酷なレースもあるのだそうです。
北欧では一番どこが強いのか尋ねると「ノルウェーね。あそこはいい犬がいるのよ。」
「他の国では?」
「アメリカとカナダ。カナダは強いわね。それにね、カナダは勝つと多額の賞金が出るの。フィンランドは、そうでもなくて。勝ってもハッピーなだけ。」
なるほどねえ。
100頭もの犬の管理や、ファームの経営など想像を超える苦労があると思います。それでもそのハッピーが賞金に勝る大きさだから、やっていけるのでしょうね。
マリアさんの晴れ晴れと話す顔を見ていると、そんな風に思うのです。
ミタ