ひきつけてやまない

おはようございます。
先週(いや、もっと前かも)入荷していた、ビンテージのテキスタイルのページ作りも見通しがつき、今日あたりアップできそうです。
ネコの手にもアイロン掛けてもらいましたしね。

vintagetextile0326.jpg

これはその中でもお勧めの一つ。大きなラウンド型のテーブルクロスです。
120cmx70cmの典型的な4人掛けテーブルに掛けてみましたが、ちょうどいい大きさでした。
ペイズリーを思わせる花のパターンが、孔雀の羽のように中心から広がったデザインです。これ一枚でいきなりミッドセンチュリーの香りですよ。
ところで、私は学校でしつこく美術史をやらされた教えていただいたおかげで、デザインを見るときは、いつもその時代背景について考える癖が付いてしまいました。

フクヤで扱っている商品のほとんどは、1950年代から1970年代にかけて作られたものです。
特にかわいいデザインを選んでいる、ということもあるのですが、しばしばそのデザインの明るさ、陽気さに驚かされます。
鮮やかで大胆な柄をmarimekkoが世に出したのは1951年、世の中はまだ長くつらかった戦争の影を引きずっているときでした。
それまで男性的でダークな色やデザインばかりを目にしていた女性達に、そのデザインがどれほどの衝撃と感激を持って受け入られたのか!

戦後、世の中はきっとどんどん良くなっていく、という人々の希望や願いがミッドセンチュリーのデザインに大きく影響を与え、楽観的で陽気な色彩や、踊るようなデザインに反映されています。
私は趣味であちこちを旅するのですが、その旅の中には、ほんの10年前に内戦で破壊された町を訪れることも、過去に災害に襲われた町を訪れることもありました。

当時の様子を資料で見ると、人類はこれほどの悲劇から立ち直ることは出来無いのではないか、思うほどの惨状が記録されていることもあります。
ところが、実際は町は復興され、人々は通常の生活を送っている。そんな姿に接する度、人間の力というものに、ただただ感動するのです。
生きている限りどんなに困難でも人は、飲み、食い、働き、生産するという日常を継続させなければならないのですね。

ミッドセンチュリーのデザインが、現在も私達をひきつけてやまないのは、そういった人間の底力や前に向かって進んでいく、本質的な楽観性に有るのではないかと思っているのです。
ミタ

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