アラビアの絵付師サインについて

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こんにちは、今日の写真はアラビアのアネモネ、直径16cmのプレートです。こんな小さいサイズで、花柄が描かれているのは初めて見ました(ラインだけのプレートは比較的見つかりやすいです)。
チマチマした様子があまりにも可愛らしかったのと、使い易そうなサイズとで、6枚をまとめて買い付けました。
アネモネは1960年代にアラビアで活躍したUlla Procopé(ウッラ・プロコペ)によるデザインで、生産期間は1962年から1976年。1980年代に復刻が短期間で出されましたが、それについては後述します。
さて、このアネモネはご覧のとおり、手彩色による花柄が特徴です。その絵付けですが、2002年の絵付け部門廃止に伴い、1960年から40年以上のロングセラーを誇った、同じくプロコペデザインによるValencia(ヴァレンシア)シリーズが生産中止。これをもって、アラビアから手彩色の製品が姿を消しました。
ところで5年ほど前だったか、ウッラ・プロコペ自身が絵付けしたヴァレンシアを探しているとのお問い合わせを受け、絵付けは絵付師が行っていたので、本人によるものは無いはずです、とお返事したあとで、考え込んでしまいました。

アラビアではフォルムデザインと、デコレートデザインを異なるデザイナーが手がける事が多いのですが、ヴァレンシア、この写真のアネモネ(奥)とロスマリン(手前)は数少ない、プロコペ自身がフォルムもデコレートもデザインしたものたちです。

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バックスタンプを見ると手描きで「ARABIA」のメーカーサイン、そしてウッラ・プロコペのイニシャル「UP」の横にもう一つイニシャルが書かれています。

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奥のロスマリンには「AR」、左前のアネモネのカップには「TS」、その横のアネモネのプレートは判読が難しいですね・・・「IW」あるいは「NV」それとも「AN」でしょうか?このイニシャルこそが、実際に製品に絵を描いた絵付師の名前です。そして「UP」のサインも同じ絵付師によるもので、ウッラ・プロコペ直筆サインではありません。

そのお問い合わせをいただいてから、余計かなあと迷いつつ、分りやすいように、商品説明にはその一言を加えるようにしています。
バックサインのイニシャルを確認すると、数人の訓練された絵付師が決まったパターンを担当していたようで、それほどの違いはありません。けれども、やはり人の手によるものなので、僅かな個性は発生します。時には同じ絵付け師さんなのに、雰囲気が違う事もあり、体調や気分もあるのかも知れません。手彩色はその違いを見るのも、楽しみ方の一つです。

写真のAnemoneプレート、Anemoneティーカップ、Rosmarinオーバルサービングプレートのアップは今月末から、来月くらいになると思います。
今サイトにあるアイテムは下記リンク先からご覧下さい。
→Arabia Anemone(アネモネ)
→Arabia Rosmarin(ロスマリン)
→Arabia Valencia(ヴァレンシア)
さて、アネモネの復刻ですが、以前バックサインが手描きではなく、1980年代のスタンプで付けられたものが入荷しました。前述のとおり、Anemoneは1976年に生産終了しているため、理由が分らない、と書いたところお客さまから80年代に復刻されていたことを教えていただきました。
そのお客さまから、ご自身のアネモネにまつわる、興味深いお話を伺い、2010年にブログにアップしましたので、よろしければ下記リンク先からお読み下さい。感想のメールなどを頂き、反響のとても強かったお話です。
アネモネとの再会

ミタ

プロコペは1968年に若くして亡くなりましたが、その後もアネモネやロスマリンと同じSモデルには様々な絵付けがなされ、フォルムそのものは1999年まで生産されていました。

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