(前回の続き)
アアルトのスタジオをあとにして、19世紀の歴史的建築物・ハカサルミ邸(Villa Hakasalmi)の展示を見学したあと、街の中心部へゆっくり歩いて向かいました。目的はストックマン・デパート。ちょうど「ムーミン80周年」記念で、デパート全体がムーミン仕様になっていると聞いて楽しみにしていました。

ストックマンに到着すると、ファサードには大きなムーミン。店内もムーミン一色で飾られ、エレベーター周りや売り場のあちこちにキャラクターが散りばめられていました。上階の特設展示へ向かったのですが、これが想像以上に場所が分かりにくい。子ども連れのフィンランド人家族も同じように迷っていて、みんなであちこち迷いながらウロウロとしてようやく到着。

展示は、ムーミンとストックマンの関わりを紹介するパネル、そして昔の大型ムーミンフィギュアといった簡素な内容でした。日本の展示を見慣れていると拍子抜けするほどシンプルでしたが、ムーミンが好きな方がじっくり読むと発見や学びがあるんだろうなあと思います。

読もうかなと思ったのですが、この日は朝から相当歩いていたこともあり、急に疲れが出て体調がぐっと落ち込んでしまい、英語を読む気力が沸かない。展示エリアのベンチで休憩しながら昔のムーミンの動画をぼんやり眺めていました。
そうこうしているうちに時間が過ぎて行ってしまったので、夕食は港の屋内市場オールドマーケットホールでスープでも……とトラムを使わず歩いて向かうことにしました。
マーケット広場へエスプラナーディ通りを歩いていると、ルーネベリの銅像、ヘルシンキ大聖堂(修復のため仮囲い中)、バルト海の乙女の像がある噴水と観光ガイドに必ず掲載されるようなシンボルたちが次々と現れます。



そしてカウッパトリが近づくと見えてくるのは、2014年に出来たサウナがある観覧車。いや、実はこの観覧車が出来たのって最近だよなって調べて10年以上前なことに驚きました。感覚的には5年くらい前だったのですが……考えてみたら5年前はコロナの真っただ中。2020年から4年くらいは時間が消えている気がする。

さて、そうこうしているうちにオールドマーケットホールに到着すると、ちょうど大量の人がぞろぞろと出口から出てきました。「どういうこと?」と思ったら、なんとその日は日曜日で17時閉館。ヘルシンキの日曜は早いのをすっかり忘れていました。

仕方なくマーケット広場(カウッパトリ)のテントのフードを見て回りましたが、どれもかなりのボリューム。

イチゴかエンドウマメでも食べようかなと思ったのですが、売り子さんと話す気力が沸かないのでパス。

朝の元気はどこへやら、ますます体調も悪くなり、そのままホテルへ戻ることにしました。夕食は途中のスーパーでパンを買って部屋で軽く食べたような記憶はあるのですが、正直、細かいところは薄れてしまっています(5か月も経つとだんだん曖昧になりますね)。

今思えば、ストックマンの向かいにあるアカデミア書店の「カフェ・アアルト」で、軽くパイかサンドイッチ、あるいはそれこそスープでも食べればよかったのに、疲れですっかり判断力がなくなっていました。今回の旅は、同行するはずだったしずく堂さんの体調に合わせて、訪問先も少なめ・日数も短めのプランにしていたのですが、しずく堂さんが来られなくなったことで、自分の行きたい場所を増やしたり、この翌日からは現地在住の友人や知人と会う予定を立てたりして、結果的に日程にまったく余裕がありませんでした。
さらに、最新の現地情報や交通の確認は、いつもほとんどしずく堂さんに頼っていたため、ひとりになった途端に情報力が急下降。無理なスケジュールのせいで体調を崩してしまったのも、今思えば当然だったのかもしれません。何度フィンランドに行ってるんだという話ですが、仕事で訪れることが多いと、本当に観光ってしないものですね。
次こそはしっかりリベンジしたい……!
正直、ここまで書いて「なんだか冴えない内容だな」と読み返して心配にもなりました。フィンランド旅行記なのにキラキラしていないし、情報量も少ないし、誰の役にも立たないのでは?と。ただ、今回はひとり旅で、しかも何度も行っている油断から事前調査も甘く、反省点の多い旅になってしまいました。でもそのぶん、「絶対にまたフィンランドに行って、次はちゃんとやり直そう」と強く誓いました。
まるで最終回のような書きっぷりですが、この北欧旅行記はまだまだ続きます。次回は、フィンランド料理教室参加&現地の友人との嬉しい再会編です。