
今年の6月2日から13日までスウェーデンとフィンランドへひとり旅をしてきました。仕事抜きで純粋に旅行です。移動の日数を引いたら、実質滞在は9日間。その9日間の滞在記を始めます。最後まで書けますように。
前回も少し触れましたが、この旅行は本当なら編み物作家のしずく堂さんと行くはずでした。
実は私はあまり写真を撮らない方です。買い付けのときは“仕事だから”と意識して撮るのですが、プライベートの旅行ではほとんど残していません。だから過去にしずく堂さんと旅した時の写真も本当に少なくて、一緒に写っているのは彼女が撮ってくれた自撮りぐらい。いま思うと、それがとても悔やまれます。
ただ、今回は病室の彼女に届けようと、SNSにアップするために写真を沢山撮っていました。ブログを書こうとすると彼女のことを思い出してしまい、なかなか取り掛かれないまま2カ月以上が経ってしまいました。でも、せっかく写真が沢山あるので、皆さんと旅を共有しようと思います。もう何度も訪れた場所なので、いわゆる“観光地”は少なく参考にならないかも知れませんが……きっといつもの旅行記とは少し違ったものになるはずです。
さて、今回の北欧旅行の目的のひとつは、「今年就航したANAの羽田ーストックホルム直行便に乗りたい!」というものでした。
可愛らしい作品が特徴のしずく堂さんからは想像できないかもしれませんが、実は彼女はかなりの乗り物&機械好き。最新のカメラや電子機器に詳しく(『Mac Fan』を購読していたくらい!)、次々に買い替えるので呆れることもありました。旅行のときは機体の種類や座席の並びなど、私にはチンプンカンプンなことを解説してくれるのが常でした。だから直行便が就航したら、それでスウェーデンに行こうとずっと前から決めていたのです。

直行便は24時30分発。なので6月2日と言いながら、実際に出発したのは日付が変わった3日の深夜。私は持ち込み荷物のリュックサックにしずく堂さんが編んだダーラナホースのオーナメントを下げ、飛行機に乗り込みました。このリュックはこの旅行のために買い、ずっと背負っていた旅の相棒になりました。

同日3日の朝7時過ぎ、予定よりも早くアーランダ空港に到着。入国審査では係員に質問されるまま、今回の旅の目的はバケーションであること、スウェーデンには4日間滞在し、その後フィンランドに行って12日に帰国することを答えました。すると「出国のチケットを見せろ」と。
チケット!?
一瞬「チケットなんてないし!」と焦りましたが、そうだ、スマホのアプリにあるんだったと思い出し、ルフトハンザのアプリを立ち上げて提示。実は今回は、日本→スウェーデンはANA、スウェーデン→フィンランドはSAS、フィンランド→日本はルフトハンザ(ドイツ経由)という複雑な経路だったので、各航空会社のアプリを入れていました。ちなみに、この旅では何かとアプリを入れないといけない事態に遭遇し、スマホがアプリだらけに……。
さて、話を戻すと、係員は「それじゃない、スウェーデン出国のチケットだ」と言うので、焦ってSASのアプリを開き直して見せ、ようやくスタンプを押してもらえました。アプリのチケットって実感がなくて、これで大丈夫なのかと不安になりました。紙のチケット時代が懐かしい!
その後は荷物を無事受け取り、空港のトイレで歯磨きや簡単な洗顔をして身支度を整え、案内に従ってバス乗り場へ。電車の方が早いのですが、今回は早朝のため、街に着いてもまだどこも開いていない時間。それにお金の節約にもなるので、バスを選びました。事前にFlygbussarnaのサイトでネット予約済み。ネット予約だと少し割引もあってお得です。⇒ https://www.flygbussarna.se/en

8時10分発のバスに無事乗車。チケットはもちろんスマホで表示。今の時代、スマホがあると無いとでは旅の効率が全然違ってきます。それどころかアプリでないと出来ない事もあり、便利なんだか、不便なんだか。

予定よりも少し時間がかかって、9時15分ごろ市内に到着。実は旅の計画を立てた時に、しずく堂さんの体調を考えて便利な市内中心のホテルを予約していたのですが、ひとり旅になった際に節約のため郊外のAirBnBに変更していました。これで宿泊費が約三分の一になったのは良いのですが、チェックインが夕方5時以降。それまでどこかに荷物を預けなければいけません。
当初ストックホルム中央駅のコインロッカーを考えていたのですが、調べてみると利用代金が日本円に換算するとなんと5000円以上!そこで「Radical Storage」というサービスを発見。街中に数ヶ所ある荷物預かり所で、丸1日でも1000円くらいで預かってくれるとのこと。本当に信頼できるのか少し心配でしたが、日本にいるうちに9時半からの利用でネット予約していました。⇒https://radicalstorage.com/
当日行って初めてわかったのですが、これは店舗やレストランなどが空きスペースを利用したサイドビジネスでした。東京時代に知っていたら、うちの店でやっても良かったかもな…と思ったのは後からのこと。
予約時には住所だけ知らされ、店舗名はなかったので仕組みを分かっていず、指定された住所の辺りをウロウロ。スーツケースを引きずって困っていると、自転車に乗った青年が「どうしました?」と声をかけてくれました。事情を話すと、彼が見つけてくれたのはアフリカ系のウィッグ専門店。なるほど、そういうことか!とようやく理解。

ところが約束の9時半なのに開いていない…。青年は「バッドビジネスですね。あそこの角にカフェがあるから、しばらく待ってみては?」と親切に教えてくれました。お礼を言ってカフェに向かうと、まさかの開店10時。泣きっ面に蜂とはこのこと。
本当は荷物を預けたら9時から営業している「ヴェーテカッテン/Vete-Katten」で朝食を食べるつもりだったので、予定通りそこで食べてから預り所に戻るかと、仕方なくスーツケースを引きずったままUターンして向かうことに。再び預かり所の横を通り過ぎたとき、「ÖPPET(営業中)」のフラッグが!開いていました!
ちょっと寄り道したけれど、結果的に無事荷物を預けられてほっと一安心。旅のこういうハプニングは終わってしまえば良い思い出ですね。
スムーズにはいきませんでしたが、無事ヴェーテカッテンに到着。

ヴェーテカッテンとはスウェーデン語で「小麦猫」の意味。ウィンドウに飾られた小麦の穂で作った猫のオブジェが目印です。

ちょうど卒業シーズンだったので、高校の卒業のシンボルである白い帽子を模したプリンセストルタの看板も出ていました(この後、実際に白い帽子をかぶった学生たちを何人も見かけました)。

店内はすでに多くのお客さんで賑わい、ウィンドウには色とりどりのパンやペイストリーがずらり。

私が選んだのは「Sommarbulle(夏のパン)」とコーヒー。ルバーブとカスタードが巻かれたソンマールブッレは、まさにスウェーデンの夏を感じさせる味でした。コーヒーはお代わり自由。店内のあちこちに置かれたポットから自分で注ぐシステムです。

入り口からは想像できないほど広い店内ですが、せっかくの良い季節。外のテラス席に座ることにしました。すると、そこで思いがけない事件が! 木の上でチュンチュン鳴いていた子雀が、サッと舞い降りてきてテーブルに。かわいいなと写真を撮っていたら、サッと近づいてパンを一口齧り、そのまま飛び去っていったのです。
ウギャー!パン泥棒!

私も、その後やってきたお母さん雀も、子雀の大胆さにびっくり。旅の思い出に残るハプニングになりました。

こうして1時間ほど休憩したら、いよいよ街が動き出す時間。怒涛の初日については次の回に続きます。

実はコーヒーをそのままで飲むとお腹痛くなるので必ずミルクを入れるのです。