柚木沙弥郎先生のトークイベント「アートをわがやへ。」へ

2月1日にイデーショップ 自由が丘店で開催された柚木沙弥郎氏のトークイベントに行ってきました。

実は柚木氏は我が母校、女子美術大学の元学長。私にとって「先生」と呼ぶ方がしっくりくるので、ここから先は柚木先生で続けますね。

今回展示の新作リトグラフが出来るまでをイデーの担当の方が説明された後、柚木先生とイデーの大島さんによるフリートークへ。新作にまつわる話、パリのリトグラフ工房にまつわる話、この秋のパリ滞在の話、パリに住んでいた若い頃の話など楽しい思い出話に続いて今回のテーマ「アートをわがやへ。」。

柚木先生がパリで個展を開いた時に、鑑賞に来た家族が、子どもに「今日は誕生日だから好きな絵を選びなさい」と子どもに絵を選ばせ購入したことがあり、 芸術が暮らしの中に自然に溶け込んでいるフランスの暮らしに先生は大変に心動かされたと。

私も欧州を旅行や仕事で訪問すると、絵を購入する、家に飾る、という行為が高尚な趣味ではなく、一般に浸透していることに感動を超えて嫉妬すらします。学生時代に初めて訪れたヨーロッパで「こんなものを日常的に目にして成長した人たちの美意識かなうわけがない」と打ちのめされる思いがしたのを覚えています。

また先生は美意識は暮らし全般から生まれる、といったことをおっしゃられました。

「最近の人は家に人を呼ぶのを嫌がるが」人を呼ぶことでインテリアに気を使うようになる、食器に気を使うようになる、服装に気を使うようになる、そうやって暮らしがアートになるのだと。

例えば、先生は少し高価とは思ったけれど気に入って購入したお皿があるそう。食卓でそのお皿を使うと、その周りが輝いて見えると。それもアートが家にあるということだ、といったことをお話されました。(なお、先生の言葉そのままではなく、私の解釈含んでいますので、ご注意を!)

「いまはモノを減らすというのが流行っているけれど、そこからは芸術は生まれない」と先生が言えば、司会のイデーの大島さんが「柚木さんの家は物が沢山ありますよね」と補足。

話題の「持たない暮らし」=「ミニマリスト」について検索すると

ミニマリストのyurihomeさんは、視覚情報を減らすことを徹底しています。隠せるものは隠し、壁には時計以外飾らない

家に雑貨はほとんど飾っていない、なちさん。でも大好きなキッチンは、自分の好きなもので華やかにしているとのこと。

https://39mag.benesse.ne.jp/living/content/?id=36292

と真っ白な何もないインテリアの写真と共に紹介されたミニマリストの紹介記事が出て来て、いやいやいやいや、私には無理。 まだこれから壁に飾る絵を増やそうかと考えていたところなのに。コレクションのフィンランドこけしがまた見つからないかなと探しているのに。 だって、あちこちに好きなものがあって目に入る方が楽しいんだもの。

ところで今回の新作にフィンランドのアンティ・ヌルメスニエミのポットを発見しました。

先生の作品を多く扱っていた渋谷のクラフトショップ「わ」ではフィンランドの小物も多く扱っていました(店舗は2017年閉店、現在は通販のみ展開)。柚木先生とフィンランド、つながりが何かあったのかしら。

トークの終わりに「岩立さんが挨拶にいらっしゃいました」と柚木先生へ係員の方が伝える声が聞こえました。自由が丘にある岩立フォークテキスタイルミュージアムの岩立広子さんだろうなと思って見ていたら案の定見覚えのあるお顔が。随分と前ですが、一度だけ岩立フォークテキスタイルミュージアムで岩立広子さんのお話を聞きに行ったことがあります。岩立さんは女子美時代に柚木先生に師事されていたとか。

他にも「先生」と声をかけ、一緒に写真を撮っている年配の女性が何人かいらっしゃって、皆さん現役時代に教わった生徒さんたちなのかもなと思いながらイデーを後にしました。 心に残るお話が聞けて本当に行って良かった。

さて、実はこのイベントはニット作家のしずく堂さんからの連絡で知りました。柚木先生の作品は好きだったので、ご本人に会えるなんて嬉しい、もしチャンスがあれば在校生でしたとお話できればいいなあと思っていました。

開場が夕方6時。うちからイデーまで徒歩20分くらいだから、5時半に家を出て10分前くらいに着けばいいかなと出かける準備していたら、しずく堂さんからメッセージが。なんでも富山の友人も行っていて、既に行列が出来ていると。

その連絡を受けて慌てて家を飛び出して、股から煙が出る程の速足で歩いて、開場15分くらい前に到着したのですが、整理券は配り終わった後で、最後尾での立ち見になりました。近くに行ってお話するなんてとんでもない!!

まさかこんなに人が集まるとは思ってもいなかったです。集まっている方を見ると20代から70代くらいまででしょうか。女性が多かったのですが、男性も結構な数いらっしゃっていて、失礼ながら柚木先生がこんなに幅広い層に支持されている方とは存じ上げていなかった。

それに10月にイデーで開催されていたフィンランドのアートユニットCOMPANYのレセプションは全然混んでいなかったのだもの。

2019年10月11日のことでした
COMPANYのお二人

この時は台風直撃前夜だったので皆さん外出を控えていたからでしょう。実は私も夫に猛反対されながら出かけたのであった。

ミタ

書きながら悩んだ。アートなんか別に無くてもいいと思っている人には、どうでもいい話だなあと思って。

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